東レ・短繊維事業部 近々超極細の新タイプ

2010年9月27日 11:56

 東レ・短繊維事業部は10年度、ショートカット(SC)ファイバーによるスペックインを強化するとともに、「トレロン」(アクリル)における中国対策に本腰を入れる。SCファイバーでは11年度からRO膜基材向けの量産を目指す。「トレロン」では中国の生産チームを駆使した開発・販促を通じ、12年度からの本格販売を目指した内需狙いの組み立てを加速する。

 東レ・短繊維事業部は09年度、「トレロン」で増収増益を達成。ポリエステル短繊維では7-9月期以降、業績を回復基調へと転換している。

 10年度、主力のポリエステル短繊維では4-6月期で販売量をリーマンショック以前の90%強の水準まで回復させており、今後もかねて強化してきた不織布での取り組みに重点化する。

 10年度はとくにSCファイバーでの取り組みを重視しており、水処理プラントなどに使われるRO膜基材向けの販売を11年度から立ち上げるための開発、顧客フォローを徹底する。

 現在は月産数10㌧規模でSCファイバーをRO膜基材以外の用途に展開しており、RO膜基材参入に伴い「早急に月産100㌧台に引き上げたい」(三木憲一郎短繊維事業部長)考えだ。

 トレロン事業では、10年度も増収増益を計画。SPAとの連携を通じマイクロアクリル中心の拡販に力を入れるとともに、中国内需をターゲットとする取り組みを本格的に立ち上げる。

 中国トップゾーンやミドルアッパーゾーンに向けてマイクロアクリルで現地生産する各種商品群を打ち出すため、中国に形成してきた紡績、編み、染め、縫製といった生産チームによる体制作りに着手した。

 東レは単糸0・6Dの「オルピア」、同0・9Dの「シルウォーム」という2タイプのマイクロアクリルを展開中。中国内需へは毛番手で100番手以上の細番手糸による肌着、ジャージ、セーターなどの提案を考えている。

 このため、現在「オルピア」よりも細い新原綿の開発を急いでおり、新原綿による中国生産チームとの共同開発に近々、着手。中国トップゾーン狙いの商品企画を11年秋冬テストセール、12年秋冬本番のスケジュールで導入したい考えだ。


関連記事

最新記事