帝人・ポリエステル繊維事業 構造改革の本丸に移行

2010年9月24日 14:10

 帝人・ポリエステル繊維事業グループは10年度、昨年から取り組んできた同事業における構造改革の第1段階にめどをつけつつある。今後は成長分野、成長市場における重点顧客を糸、テキスタイル、製品で総合的にフォローするため海外生産を有機的に連動させた体制作りを急ぐ。とくに、中国、タイに構えるTX拠点の増強、生産銘柄の幅出しを進め、海外拠点を絡めた新規サプライチェーンからの供給増で商圏拡大につなげていく。

 帝人は昨年来、ポリエステル繊維事業の構造改革を進めている。10年4-6月期決算では、構改第1段階の効果を発現させるとともに、産業資材関連のビジネスが想定以上の需要回復に支えられ業績を改善。

 わずかとはいえ500万円の営業黒字へと浮上させており、今後は12年度で50億円という中期目標に向かい「構改の本丸と着実に取り組んでいきたい」(亀井範雄常務ポリエステル繊維事業グループ長)考えだ。

 帝人は国内の衣料市場の低位安定を見通しており、衣料繊維事業では成長分野、成長市場をターゲットに製品供給も含めたキーカスタマーへのアプローチで成長戦略を描こうとしている。

 これまでは糸・ワタやテキスタイル売りによる「点や線の商売にとどまっていた」(亀井常務)のを、NI帝人商事などと連携する製品OEM(相手先ブランド生産)も交え、キーカスタマーや新規顧客との取り組みを面でフォローするための仕組み作り、商流開拓を強化する。

 ユーザーとWIN・WINの関係を構築するため、海外拠点や海外外注生産を含めた「より競争力をもった新規サプライチェーンを作る」(同)としており、これまでは個社最適を優先させてきた帝人グループにおける取り組みを全体最適へと大きく転換。グループ各社との有機的連動でユーザーの求める商材をフルレンジで供給できる生産の仕組み作りを急ぐ。

 国内や中国、タイで生産する糸、ワタ、TX、製品OEMで先方の企画を広くカバーする取り組みが近々、店頭展開を迎えるなど、このような戦略的なユーザー連携について「10件弱の商談が進行中」という。

 帝人は新しい仕組み作りを進めていく上で、海外TX生産の増強を最重要課題に位置づけており、すでに中国の南通帝人では染色からニットの生産を本格化させている。

 キーカスタマーとのビジネス拡大を支える海外TX事業における拡大戦略を早急に策定し、今後3年位をめどに南通帝人、タイナムシリインターテックスの生産規模を「少なくとも数10%増やす」方針。

 産業資材事業では、不織布やゴム資材のような自動車関連資材、クッション材、ショートカット(SC)ファイバーなどで拡大戦略を考えている。

 なかでも、「ユーザーとダイレクトにやりとりを行わなければ、それぞれの業界の変化についていけない」としており、川中、川下への進出でユーザーとの直接的なやりとりを増やし商品開発、スペックインのスピードアップを図る。

 鉄道車輌向けに展開するクッション材「エルク」が海外からも引き合いを集めており現在、最終の仕込みが進行中。これを契機に「大きく業容を変えられる」と見通している。

関連記事

最新記事