旭化成せんい・「ラムース」 EUカーシートがボリュームに
2010年9月22日 09:59
旭化成せんいは人工スエード・ラムース事業で、10年度はインテリア用途での販売回復によって「ラムース」トータルの販売量を10%前後伸ばすとともに、先端材料分野に向けた商品開発を改めて強化する。円高に伴う収益面での苦戦に対しては、輸出における値上げで収益減をミニマイズしたい考えだ。
旭化成せんいはラムース事業で、09年度の後半商戦から販売量を反転させている。とくにカーシート向けの国内販売を急増させた効果で「ラムース」トータルの販売量を「ほぼリーマンショック以前の水準に回復させた」(一糸<いと>修身ラムース営業部長)という。
10年度は、カーシート向けの国内販売が前年の反動で減少すると見通しているものの、その分を欧米向けの拡販でカバー。欧米向けのインテリアも伸ばし、トータルで10%前後の前年増を目指す。
米国ではカーシートやインテリア(椅子張り)の用途でエコ素材へのニーズが高まっているという。旭化成せんいはすでに「ラムース」表面の立毛部をリサイクルポリエステルで、ウレタンを水系で商品化するエコ企画に転換しており、米国ではこの点を強力にPRし、両用途での拡販につなげていく。
カーシートでは、4-5年前から取り組んできたEU対策が業績に貢献しつつあるという。これまではスポットでの採用にとどまっていたのが、09年度から量産車での搭載に拡大。10年度も「さらに増やせる」(一糸営業部長)と見通している。 新興国に向けた商圏拡大にも意欲を示しており、11年度からの中期計画にまず日系メーカーをターゲットとする中国対策を織り込む。
インテリア素材の対欧輸出については、「家具用途は今年も厳しい」(同)と見通しており、壁装材のようなコントラクト分野での取り組みを強化し、インテリア素材の対欧輸出を反転させたい考えだ。
旭化成せんいは不織布事業部全体の課題として先端材料領域への本格参入を目指した取り組みを進めている。
ラムース事業においても、抄造法という独自の製法を駆使した新規商材開発を急いでおり、いくつかのサンプリング案件が進行中という。