ISO TC133、中国で20年ぶり委員会

2010年9月16日 10:57

 ISO(国際標準化機構)で、衣料のサイズシステムと表示に関する技術委員会であるTC133が20年ぶりに開かれた。中国が、議長国である南アフリカ共和国に開催を働きかけ、中国で会議した。出席した日本アパレル工業技術研究会(アパレル工研、清水二郎会長)によると、会議では「自国のサイズ標準をISO標準にしたいなど、中国主導のISOを進めたいとの意向が鮮明になった」とし、日本でも早急に対応策を検討すべきであると強調している。

 TC133(テクニカル・コミッティ)は、衣料のサイズシステムと表示に関する技術委員会で、サイズ規格を管理している。幹事(議長国)は、南アフリカ共和国。参加メンバーは、投票権のあるフランス、英国、日本、韓国、南アフリカ共和国、中国、イタリアなどPメンバー18カ国と、インド、ギリシア、ベトナムなどO(オブザーバー)メンバー30カ国で構成。

 委員会は、1990年に会議し現状の衣服のサイズ規格を制定した以降、開かれないでいた。しかし中国は、07年頃から南アフリカ共和国に、中国での国際会議の再開を申し入れてきた。

 その復活の会議が7月27、28の両日、中国の江蘇省常熟市で行われた。中国、南アフリカ、日本、韓国、トリニダード・トバコが参加。日本からは、TC133で日本を代表する機関である繊維評価技術協議会(繊技協)の依頼で、アパレル工研のメンバーが参加した。一方中国は、SAC(中国の国家標準化管理委員会)、東華大学、上海市服装研究所などから12人が出席した。

 この会議は、今後話し合っていく内容を提示することが主眼で、16項目が採択された。その内容は、TC133を再開すること(決議1)、南アフリカ共和国と中国が共同で事務局をする(決議2)、TC133のためにビジネスプラン草案を作成するグループを作り、両国で作成し2ヵ月で作業を終える(決議4)など。また、パンティストッキングの測定の標準化の方法、乳幼児の計測方法、ボディスーツなど他のファンデーション及びカップサイズの追加(決議13)――など色々なアイテムに対して修正や改定をしたい考えが打ち出されている。

 ただ問題は、TC133は人体のサイズの計測方法と名称の会議だが、今回話し合った中身(決議3)は、TC38に規定している衣服のラベル表示に関しても提案したい。防護服(TC94)、人間工学(TC159)、衣料サイズ(TC248)などTC133から外れるような幅広い論議も取り込んでいきたいーーなどが話し合われた。次回会議で、それらを検討することで合意した。  会議に出席したアパレル工研のメンバーは、「中国主導のISOを進めたいとの意向が鮮明になった」と主張する。中国で、衣服のサイズ標準でGB1335がある。日本のJISーL4005(成人女子用衣料サイズ)などを参考にして、国際水準の標準を作っているが、09年3月に業界のテキストとして出来上がった。それをISOに提案したいもようだ。つまり、自国標準をISO標準にしたいとの考えだ。Pメンバーが賛成しないとできないが、「繊維大国から、繊維強国へと指向する中国の考えがより明らかになってきた」と指摘する。

 次の会議は、11年6月に南アフリカ共和国で開かれる予定だが、問題は日本の繊維・アパレル業界の対応である。中国が会議で主張しているのは、「この衣服の規格に関して、サイズだけではなく衣服の機能性、安全性、環境保全を含めた衣服標準に拡大していきたい」こと。今後の見通しだが、不透明な部分が多いが、中国が積極的に提案する見通しであり、その内容が少なからず日本にも影響を及ぼすことが予想される。繊技協から依頼されたアパレル工研が中心になってISO委員会やワーキンググループなどを立ち上げ、来年の6月までにある程度の結論を見出していくべきだろう。

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