トランプ氏の戦略備蓄化でも急落する仮想通貨

2025年3月18日 09:31

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●トランプ氏がビットコインの戦略備蓄へ大統領令に署名

 米国のトランプ大統領が3月6日、仮想通貨・ビットコインの戦略備蓄に向けた大統領令に署名した。

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 トランプ氏は選挙期間中から「米国を暗号資産(仮想通貨)の首都にする」と表明し、政府の戦略備蓄にも言及してきた。

 しかし、足元の仮想通貨価格は下落している。ビットコインは、一時1BTC=1,600万円を超えていたが、戦略備蓄の署名後も1BTC=1,160万円台にまで下落、その他の仮想通貨も低調な動きが続いている。

 依然、仮想通貨には好材料が多いはずなのに、価格が下落を続けるのはなぜなのか?

●戦略備蓄の中身

 トランプ氏は2日に自身のSNSで、ビットコインやイーサリアムを含む5つの仮想通貨を備蓄する方針を示していた。

 これに対しては、サマーズ元米財務官が「常軌を逸している」と発言するなど、否定的な意見が多い。

 大統領令では、刑事や民事の資産没収手続きで連邦政府が差し押さえたビットコインを原資とする予定であり、すでに20万ビットコイン(2兆2000億円)を保有しているとの推測もある。

 大統領令では、納税者のコストにならない形でビットコインを追加取得するための予算中立的な戦略を策定するように指示するなど、税金は投入しない見込みである。

●内容に失望売り?

 大統領令翌日の7日には、仮想通貨サミットが開かれたが、市場の期待にそうようなものではなく、逆に具体策が無かったことから失望売りが広がったとの見方もある。

 戦略備蓄に税金を投入するなら期待で買われたかもしれないが、イーロンマスク氏が主導する政府効率化省(DOGE)で予算削減に取り組む中、税金の投入は理解が得られない。

 トランプ氏は米ドル連動型のデジタル通貨「ステーブルコイン」の支援に前向きな姿勢を示すなど、期待感は市場の中にもまだまだある。

 ただ具体策が見えてこないこと、関税発動によるリスクオフの動きで株価下落も相まって、仮想通貨も下落しているのかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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