ウィルズは強運企業!? 新型NISAやROE8%動向が、いまはフォローの風

2025年3月18日 09:25

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 ウィルズ(4482、東証グロース)。株主優待商品の交換サイト「プレミアム優待倶楽部」の運営という、奇妙して巧みなビジネスを展開している。「株主優待策を実施している企業の株に投資することで、日々の生活品に困らない」という元棋士の桐谷広人なども、ウィルズの活用組なのだろうか!?

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 そんなウィルズに一大事が発現したのは2019年。「日本では全上場企業の約4割の1463社が株主優待を実施している。優待実施は過去20年以上にわたって概ね増加基調にあったが、2019年をピークに頭打ちになった」(23年1月16日付け、大和総研レポート)。

 株主優待企業の頭打ち・廃止は、ウィルズにとりビジネスの根幹を揺さぶりかねない。

 優待を実施する企業の株主は倶楽部に登録すると、保有株数・保有期間に乗じて「プレミアムポイント」を取得する。溜まったポイント数に応じ、株主となっている優待企業の自社商品を優位に好感できる。貯まったポイントをウィルズコイン(Web上のコイン)経由で他社のポイントと合算できる。貯まったポイントに応じ、提携する百貨店・旅行会社などの商品に交換できるetcといった枠組み。

 が、懸念は全くの徒労だった。ウィルズの収益動向が、それを物語っている。

 上場初年度の2019年12月期から前12月期まで6期間は1期たりとも減益知らずで、平均営業増益率は37%余、そして今期計画は「13.2%営業増益」。

 19年で株主優待企業は頭打ちとされた際に最大の要因として、株主間の不公平(外国人投資家・機関投資家はノーサンキュー、配当を優先しろと主張)が指摘された。

 対していまウィルズにとりフォローの風となっているのが、まず(新)NISAの拡大という国策。

 そして経産省が進めている「継続的競争の競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係の確立」。企業間の株式持ち合いの解消を意図としているが、具体的指標として持ち出されているのが「ROE8%達成」。周知のとおりROEは「当期純利益÷自己資本×100」で算出される。「持ち合いにより自己資本を低下させては、儲け力を低下させる」という理屈だ。

 優待株主優待制度に関して言えば、驚かされる事実に遭遇もした。ゼンショーホールディングス(7550)が展開するはま寿司が昨年12月「株主優待廃止」を発表すると翌日の株価は前日比16%方下落、今年2月に「復活」とすると20%近く上昇した。

 ウィルズの本稿作成中の時価は600円台半ば、予想税引き後配当利回り1.6%強。ご対応を・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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