EDR活用した事故履歴鑑定サービス、国内で初めて開始 JADRAA

2025年3月14日 12:56

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EDR(イベントデータレコーダー)の情報取得イメージ(画像:日本自動車データレコード鑑定協会の発表資料より)

EDR(イベントデータレコーダー)の情報取得イメージ(画像:日本自動車データレコード鑑定協会の発表資料より)[写真拡大]

 日本自動車データレコード鑑定協会(JADRAA)は、EDR(イベント・データ・レコーダー)を活用した、中古車事故履歴鑑定サービスの提供を国内で初めて開始する。中古車購入時の消費者の不安を軽減し、より安心して車両を選択できる環境を整える。

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 中古車市場で購入者が最も気にするポイントの1つが、「事故車ではないか」という点だ。多くの中古車販売店では、展示車両に「修復歴なし(事故歴なし)」と明記しているが、一般消費者がどこまで正確な情報かを判断することは、容易ではない。

 中古車販売店であっても、車両の修復歴を完全に把握できていないケースもある。これにより、修復歴があるにもかかわらず「修復歴なし」として販売されるリスクも存在し、消費者の不信感を招く要因となっている。

 近年、自動車技術は飛躍的に進歩しており、多くの車両に電子制御システムが搭載されるようになった。その中でもEDRは、車両の挙動に関する膨大なデータを記録する装置であり、航空機におけるフライトレコーダーのような役割を果たす。

 EDRは、エアバッグが作動するような事故が発生した際、衝突の数秒前からの車両情報を記録する。例えば、車速、ブレーキやハンドル操作の履歴、アクセル開度、エンジン回転数などが含まれる。このデータは、事故原因の分析や車両の安全性能評価において重要な役割を担っている。

 だがこれまで、EDRのデータを公正かつ適正に解析する仕組みは整備されておらず、その活用は限定的であった。JADRAAは、全国のEDR解析資格を持つ専門家や関連分野の有識者と協力し、公平・公正かつ中立的な第三者機関としての役割を果たすことを目的として、2025年1月に設立された。

 鑑定サービスでは、EDRに保存されたデータを解析し、車両の骨格に対する衝撃入力ダメージを可視化する。これにより、修復歴の有無をより正確に判断し、客観的かつ効率的な車両評価を実現することが可能となる。

 この仕組みにより、中古車の透明性が向上し、消費者がより安心して購入できる環境が整うことが期待される。

 今後、JADRAAは協会会員を募り、全国規模の専門家ネットワークを構築する計画だ。2025年春には、関東圏および全国の一部地域で中古車販売店・買取店向けにサービスを提供開始し、その後、順次全国へ展開する。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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