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一通のメールと取材で、クラウドファンディングの裾野の拡がりを確信した
クラウドファンディング(クラファ)が裾野を拡げている、と実感した。
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11月19日、「大変ご無沙汰。昨年、石井食品(東証スタンダード)で広報を担当時代はお世話様でした。がいま秋田の酒蔵:稲とアガベでの酒造りの学びを終え、千葉に帰ってきました」で始まるメールが、市川菜緒子氏から突然届いた。
詳細な内容は省くが、『仲間5人で11日に「労働者協同組合鮭酒蔵」という法人登記をした。休耕地を活用し、酒造りをしたい人が自由に酒を造れる「みんなの酒蔵」を建てたいと考えている・・・が私たちの活動を発展させていくためには資金が必要。そのために11月22日から来年1月15日までの予定で、200万円のクラファを行う。(投資への)リターンは私たちが学び設計し、委託醸造した酒』といったクラファへの力添えを訴えるものだった。いま、心が前向きに揺れている。
私は直前、「上場も視野に入れている」クラファの運営会社の創業を取材したばかりで「時代の金融:クラファ」に関心を膨らましたばかりだった。
ミュージックセキュリティーズ。前社長の小松真実氏により、かれこれ4半世紀近く前に起業された。取材で設立の経緯を知ると、「起業の妙」の四文字が頭によぎった。
小松氏は学生時代にバンドを組み、作曲/ドラムを担当していた。「音楽で食べていくつもりだった」というほどだった。
が当時、一法でこんな違和感を強く覚えていたという。「無名の音楽家が売り出すためには、レコード会社の言いなりにならざるをえない。そんなのは、自由な創作活動とは言えない」。そんなモヤモヤした想いが音楽家の道を脇に追いやり、至った結論が「作品に惹かれた個人から小口のお金を集め、音楽家に投資をする会社を作ればいいじゃないか」という思い。
そう、クラファの運用会社の立ち上げである。
そしてミュージックセキュリティーズは今夏に至るまで、インターネットを介した1000本余りのクラファを組成している。当初は「ミュージシャンとファン」を取り持つファンドが、相次いで生み出された。一口1万円也を投じたファン(投資家)には売り上げに応じた分配金や、ミュージシャンの名前がCDの包装紙に記された見返りがもたらされた。
ミュージックセキュリティーズが、組成するファンドの範囲を広げる契機となったのは2007年のことだった。神亀酒蔵の専務:小川原氏(全量純米蔵を目指す会の代表)との出会いが、大きな転機となったとされる。「純米酒ファンド」を開始した。小松氏は、「最高の質を生み出すものづくりへのこだわりの姿勢、インディペンデントであることの誇り、我々がいままでミュージシャンとの間に持ち続けてきた関りと全く同じだ」と語った。
09年には、マイクロ投資(事業・企業への個人の少額投資)プラットフォームを開始。13年には広範囲化を図るため大阪・梅田にも拠点を開設。その間、11年には3月11日の東日本大震災を契機に「セキュリティ被災地応援ファンド」を組成している。被災地のインディペンデントな事業者に向けた、一口1万円からのクラファである。
冒頭のメール&取材で、「クラファの時代」を再認識した。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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