Jトラストは24年12月期3Q累計減益だが営業収益は過去最高、通期予想は上振れ期待

2024年11月14日 10:31

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は11月13日に24年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。前期の特殊要因(負ののれん発生益)の剥落により大幅減益だが、営業収益が第3四半期累計として過去最高と順調に拡大し、営業利益も計画比上振れて着地した。通期予想(負ののれん発生益剥落により減益予想)を据え置いたが、第3四半期累計が計画を上回ったことなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は9月の戻り高値圏から反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。

■24年12月期3Q累計減益だが計画比上振れ、通期予想据え置き

 24年12月期第3四半期累計の連結業績(IFRS)は、営業収益が前年同期比14.8%増の969億15百万円、営業利益が58.7%減の50億25百万円、親会社の所有者に帰属する四半期純利益が78.8%減の40億51百万円だった。

 前期の特殊要因(不動産事業においてミライノベートを吸収合併したことに伴い計上した負ののれん発生益)の剥落により大幅減益だが、営業収益が第3四半期累計として過去最高と順調に拡大し、営業利益も計画比13億円上振れて着地した。

 日本金融事業の営業利益は42.6%増の49億47百万円だった。証券業務やクレジット・信販業務における手数料収益の増加などで17.0%増収となり、貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の減少も寄与した。

 韓国及びモンゴル金融事業の営業利益は72百万円の損失(前年同期16億52百万円の損失)だった。景気悪化や債権不良化などで債権売却損が増加した一方で、貯蓄銀行業における預金減少によって利息費用が減少したため、営業損失が大幅に減少した。

 東南アジア金融事業の営業利益は56.6%増の23億10百万円だった。銀行業における貸出金の増加や新規貸出金利の上昇、保有有価証券の平残増加に伴う利息収支増加などで29.3%増収となり、優良な貸出金の積み上げによる利息収支増加も寄与した。

 不動産事業の営業利益は94.0%減の6億51百万円だった。売上収益はJグランドの不動産取扱件数の増加、ライブレントの連結取込などにより34.6%増収だが、ミライノベートを吸収合併したことに伴い前期計上した負ののれん発生益が剥落した。

 投資事業の営業利益は12億21百万円の損失(前年同期は15億83百万円の損失)だった。PCL社に係る訴訟費用が増加した一方で、訴訟判決によるPCL社からの回収金を計上したため営業損失が縮小した。その他事業の営業利益は1億22百万円の損失(前年同期は22百万円の損失)だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は営業収益が315億54百万円で営業利益が2億81百万円の損失、第2四半期は営業収益が338億73百万円で営業利益が23億38百万円、第3四半期は営業収益が314億88百万円で営業利益が29億68百万円だった。

 24年12月期通期連結業績予想は前回予想を据え置いて、営業収益が23年12月期比12.0%増の1280億円、営業利益が8.2%減の74億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が60.8%減の64億円としている。配当予想についても据え置いて23年12月期と同額の14円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。

 セグメント別営業利益計画は、日本金融事業が22.9%増の57億22百万円、韓国及びモンゴル金融事業が8億37百万円(23年12月期は33億34百万円の損失)、東南アジア金融事業が17億32百万円(同10億19百万円の損失)、不動産事業が89.5%減の11億33百万円、投資事業が1億53百万円(同20億72百万円の損失)、その他事業が50百万円(同55百万円の損失)としている。

 日本金融事業は信用保証業務、債権回収業務、証券業務が順調に伸長して大幅増益を見込む。韓国及びモンゴル金融事業は質の成長を目指し、貯蓄銀行業務と債権回収業務による安定的な利息収益計上を見込む。東南アジア金融事業は、インドネシアでは銀行業務の積極的な貸出残高の増強など、債権回収業務の買取債権増加による収益機会の拡大、カンボジアでは富裕者層顧客のニーズを汲み取った商品開発などを推進する。不動産事業では総合不動産会社として商品ブランド認知に注力する。投資事業では裁判費用等の回収コストを抑制しつつ、GL社に対する債権回収強化を図る。

 通期予想(前期計上した負ののれん発生益剥落により減益予想)を据え置いたが、第3四半期累計が計画を上回ったことなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は切り返しの動き

 株価は9月の戻り高値圏から反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。11月13日の終値は442円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円61銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1104円10銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約608億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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