デイトナ Research Memo(8):アジア拠点卸売事業の高成長がけん引、2024年12月期は増収増益へ

2024年10月18日 15:08

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記事提供元:フィスコ

*15:08JST デイトナ Research Memo(8):アジア拠点卸売事業の高成長がけん引、2024年12月期は増収増益へ
■今後の見通し

1. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高14,413百万円(前期比3.2%増)、営業利益1,772百万円(同4.4%増)、経常利益1,784百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,214百万円(同2.8%増)を見込んでおり、期初の業績予想を据え置いた。2024年12月期上期については、主力の国内拠点卸売事業は売上面では目標達成したものの、利益面では目標を大きく下回るなど苦戦した。ただし同事業では第2四半期において市場環境に回復傾向が見られたほか、アジア拠点卸売事業が大きく伸長し、国内拠点卸売事業や小売事業の不調を補う状況が下期も継続すると判断している。国内市況の回復と併せてアジア拠点での卸売事業の好調が継続すれば、業績予想の達成は十分可能と弊社では見ている。また、既存商品のリニューアルによる再販のほか、デイトナ<7228>初となるオリジナルのフルフェイスヘルメット、防水シューズ、ライディングシューズ、レインウェアなどの新商品を市場投入する予定であり、消費者の買い換え需要を喚起していく。

セグメント別では、国内拠点卸売事業や小売事業については、2024年12月期下期から円安前提の新商品に切り替えることで、通期での増収増益を予想している。為替動向は現在小康状態を維持しているが、同社は商品製造拠点を見直すなど、さらなる円安となった場合にも対応可能な体制の整備を進めている。Eコマースの売上高はオフロードバイク用品の拡充などから引き続き好調に推移すると見ているほか、実店舗でも、娯楽拠点としての機能充実や新品販売だけでなく、二輪車の整備、修理、点検などの需要に対応した体制整備を引き続き行う。さらにマックスフリッツやダートフリークのブランド価値を生かした店舗展開に注力し、拡販を計画する。アジア拠点卸売事業については、新商品の投入や、パーツ販売店への直接販売の強化、店舗網の拡充といった各種施策の推進により増収増益を予想している。なお、取引先件数が拡大し、物流量が増加したことで、商品保管スペース確保の問題が発生したため、受注出荷業務の委託を検討している。インドネシアに関しては、周辺諸島を含めると市場拡大の余地は大きいことから、販路開拓を進める方針だ。

2. 中期経営方針
2022年4月に創立50周年を迎えたことを踏まえ、2023年3月に3ヶ年の中期経営方針(2023年12月期~2025年12月期)を策定し、毎年調整を行うローリング方式で推進している。市場の変化に柔軟に対応できる「ファブレス型」メーカーの特徴を最大限に活用し、既存の二輪事業で勝ち残り、新事業へのチャレンジを継続して多角化を図ることで、100年企業を目指している。数値目標としては、2026年12月期連結売上高17,000百万円、営業利益2,050百万円を掲げている。

経営方針としては、同社が属する二輪車市場の成熟や衰退といった将来の経営リスクを考慮し、新規事業へのチャレンジ・事業化として新領域での事業展開やM&Aを推進する。業績を伸ばすためのM&Aについては、対象会社がコロナ禍後に急成長したケースが多かったため、経営状況を見定めたうえで実施の判断を検討することとしており、当初計画よりも慎重な方針を設定した。しかしながら、国内市場での商品力・ブランド力を強化し、ユーザー支持率No.1ブランドとしての地位を確立するほか、インドネシアを中心に海外市場への展開を進め、世界のライダーに支持されるブランドを目指すことに変わりはない。さらに、共感・相互成長が期待できる、同業のみならず異業種企業とのグループ化や資本業務提携などにより、特に「趣味」の領域でシナジーを発揮し、連結売上高200億円以上を現実的に達成できる状態を目指す。

重点施策として以下の7点を掲げ、推進している。

(1) 国内拠点卸売事業:国内二輪車用品市場でのブランド確立
国内二輪車用品市場でユーザー支持率No.1ブランドを確立する。新商品開発や既存品改良に対してこれまで以上に経営資源を投下することで、より魅力ある商品を市場へ投入する。また、営業活動においてオンラインを活用するほか、ユーザーに動画で商品訴求を図るなど、効果的なコミュニケーションを推進する。

(2) 国内拠点卸売事業:適切な価格設定と管理コスト削減
仕入コストの上昇に伴い商品価値と価格のバランスを見直し、適切な価格設定にすることで、新商品開発や新規事業への積極的な投資に必要な利益を確保する。また、在庫や管理コストの削減に向けて、物流改善の責任者を設け、倉庫業務の効率化や仕入先との情報連携スキームを構築している。

(3) 海外市場展開
インドネシアでは大きく業績が向上したことから、海外戦略の第二弾としてフィリピンの現地法人を2024年2月に設立した。フィリピン市場において、インドネシアで培ったノウハウやビジネスモデルを活用し、重要な海外拠点として成長させるべくスキーム構築を進めている。

(4) サービス拠点の強化
直営店舗を「ライダーのためのサービス拠点」として強化する。若手エンジニアを採用し、整備・サービスの強化を図るほか、バイクライダーの不便解消に向けてレンタルガレージの展開を予定するなど、バイクライダーのコミュニティの場として進化させる。

(5) 二輪車アフターパーツ以外の領域拡大
2022年7月に新規事業部を設置し、既存事業に次ぐ収益の柱となる事業の確立を目指している。同事業部の売上構成比について、中期経営方針では12%程度、将来的には25%程度を二輪車アフターパーツ以外で構成できるよう投資する。

(6) M&Aによる事業の多角化
これまでの実績として、2017年にダートフリークと(株)プラス(2019年にダートフリークが吸収合併)を、2022年にはオーディーブレインを子会社化した。今後もさらなる顧客基盤の拡大に向けて、同社ブランドを確立している二輪車領域と二輪車周辺領域で、シナジーが見込める案件に対し、M&Aを積極的に検討する。

(7) サステナビリティ
将来にわたり二輪車を楽しめる豊かな自然環境や社会の実現は、同社の発展にとっても重要な取り組みとなる。同社グループ企業の使用電力は2023年12月も100%再生可能エネルギーを実現した。今後もコーポレートガバナンス・コードやSDGsを指針に社会貢献に取り組む。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《HN》

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