木星の衛星エウロパでの生命維持は可能か NASAのエウロパクリッパーが打ち上げ

2024年10月18日 09:22

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NASAのエウロパクリッパー宇宙船を載せたファルコンヘビーロケットの打ち上げ (c) NASA/Kim Shiflett

NASAのエウロパクリッパー宇宙船を載せたファルコンヘビーロケットの打ち上げ (c) NASA/Kim Shiflett[写真拡大]

 NASAの「エウロパクリッパー」宇宙船を搭載したSpaceXのファルコンヘビーロケットが、10月14日午後12時6分(現地時間)に打ち上げられた。

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 NASAによるエウロパクリッパーミッションは、木星の衛星エウロパが生命維持が可能な星かどうかを調査することを目的とする。生命維持が可能な環境であることが判明した場合、NASAは別の生命探査に特化したミッションを立ち上げることを示唆している。

 エウロパクリッパーミッションでは、これまでの惑星衛星探査ミッションの中では最大級の探査機を送り込む。エウロパに届く弱い太陽光エネルギーを有効活用するために、エウロパクリッパーに装備される太陽光パネルの幅は30メートルにも及ぶ。

 木星の衛星エウロパは、ガリレオ衛星のひとつで、1610年には既に存在が知られている。1979年にはボイジャーが接近し、鮮明な画像を捉えた。1990年代には、NASAのガリレオプローブによる木星探査ミッションでより詳細な観測データがもたらされ、海が存在している可能性が高いことが判明している。

 今回のミッションは、エウロパで生命維持に必要な3要素(水、エネルギー、化学物質)の存在を確認することが主な目的だ。NASAはこれらが潤沢に存在している場合、細菌のような生命が誕生している可能性もあるとしているが、エウロパクリッパーの装備では、エウロパの海面下深くに存在するかもしれない生命探査は困難としている。

 エウロパクリッパーは、最初の4カ月で火星付近まで移動し、2026年には重力フライバイのため、いったん地球付近に戻り、2030年4月に木星付近に到着する予定だ。その後、4年間のミッションで49回のエウロパ接近が計画されている。また、最接近時にはエウロパの海面の25km上空を飛行するとのことだ。

 今回のミッションで得られたデータにより、地球とエウロパの環境の類似点や相違点が明確になり、宇宙での生命誕生はごくありふれた事件なのか、それとも地球だけに起こった特別な事件だったのかが明らかになる。2030年代は地球外生命探査にとって画期的な時代になりそうだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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