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井関農 Research Memo(4):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー(3)
*16:04JST 井関農 Research Memo(4):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー(3)
■井関農機<6310>の会社概要
(5) 生産性向上に寄与する農業用ICT
同社は農機販売などのハードに加えて、有益な営農情報を発信するなどソフト面の活動にも注力している。「顧客の夢ある(=儲かる)農業を応援する」というコンセプトの下、「夢ある農業総合研究所」を中心に営農提案やサポート活動に取り組んでいる。また、ホームページでは低コスト技術に関する情報発信を行ったり、営農ソリューションポータルサイト「Amoni」にて最新の技術動向に関する記事の発信なども積極的に行っている。現在は、情報発信をすることにより農家との接点を作り出すことを主な目的として活動を展開しているが、今後はコンサルティングサービスのような形で事業化することも視野に入れている。
また、農業の省力化、効率化のためにICTを積極的に活用している。営農管理システムとして「ISEKIアグリサポート」「ISEKIアグリサポート×アグリノート連携」、遠隔監視サービスとして「ISEKIリモート」を提供しているほか、生育管理関連としてドローンで撮影した農地の画像をクラウド上で保存する「いろは」、ドローン・人工衛星による画像解析を活用し農作業の効率化を実現する「天晴れ」などのサービスを提供している。
「ISEKIアグリサポート」が提供する機能は大きく分けて「作業管理サポート」と「機械管理サポート」の2つがある。「作業管理サポート」は、農機に搭載されたICTから得られるデータを記録・分析・管理することによって従来の経験や勘に頼った農業から脱却し、より効率的な農作業の実現を助ける。「機械管理サポート」では、農機から得られるデータを基に農機の状態を把握できる。事前の点検・メンテナンスを可能にし、未然に故障を予防できる。
今後ますますICTを活用した営農支援が重要になってくると弊社は考えている。2021年に農林水産省が行った調査によると、営農情報の管理について45.7%が「営業日誌等のノートに記載」と回答し最も高い割合を占めていたほか、スマート農機の営農への活用について84.9%が「活用していない」と回答している。一方で、営農管理システムの活用に関しては51.8%が「活用する意向がある」と回答している。この調査結果からICTを活用した営農支援やスマート農機の活用によって農業を効率化できる余地、伸び代がいかに大きいかが分かる。
こうした状況を踏まえ同社は、中期経営計画で「ビジネスモデル転換」として情報・ノウハウを軸にしたサービス提供や新規ビジネスの創造に注力する方針を示している。ICT利活用が進んでいない農業において、「ISEKIアグリサポート」が営農効率化に貢献できる部分は多くあり、同社農機の魅力を高め、売上の拡大に寄与することが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)《HN》
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