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中東情勢緊迫化で混沌とする原油価格の行方は?
●中東情勢を受け原油価格が上昇
イランがイスラエルに向けて弾道ミサイルを発射したことを受けて、中東の原油供給に混乱が生じるとへの懸念が高まり、米国の原油先物は2日、1ドル超上昇した。
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1日にイスラエルがレバノン南部のイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに対し、地上攻撃を始めており、イラン側はその報復であると発表している。
2日の東京株式市場では、中東情勢の悪化を受けて、一時1000円超値下がりした。
情勢悪化で、原油生産の約3割を占める中東からの供給に影響が出るとなれば、原油価格の高騰を招きかねない。原油価格だけでなく、株式市場にもリスクオフの動きが広がる可能性がある。
●上値が抑えられている
中東情勢悪化前の9月は、FRBによる0.5%の大幅利下げがあり、景気後退が懸念されて原油価格も一時下落していた。
2日に発表されたIEA(米エネルギー情報局)による米原油在庫は、ロイターアナリストがまとめた130万バレル減に対し、390万バレル増と、予想外に増加した。
中東情勢による供給懸念を米国在庫が打ち消した格好になっている。
●原油価格は高騰するのか?気になる米国の出方
9月のOPECプラス会合では、現行の生産政策の維持を決定し、過剰生産を相殺するために、一部加盟国が更なる減産を行う必要があるとしている。
9月24日には中国が大規模経済対策を行うと発表したことを受けて、原油先物に加えて、銅や鉄などの商品も上昇する場面があった。
メキシコ湾を襲ったハリケーン「へリーン」は、米メキシコ湾の原油生産の約3割が影響を受けたと見られており、今後もハリケーンが襲来する可能性もあることから、更なる影響も懸念される。
中東情勢で鍵を握るのが米国の仲介であるが、9月26日にはイスラエルがレバノンでの停戦案を拒否するなど、米国の影響力にも限界がある。
米国国務省のキャンベル副長官は、中東情勢を「ナイフの刃の上でバランスを保っている」と発言するなど、危機感を露わにし、イスラエルに自制的な行動を呼びかけている。
中東情勢が長引けば、11月5日の米国大統領選挙にも影響が出かねず、バイデン政権は有権者の顔色を窺いながらでしか手を打つことができない。
原油価格もしばらくは高止まりの気配が強いだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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