フルサト・マルカHD Research Memo(3):「モノづくり」市場におけるソリューション力が特徴・強み

2024年10月3日 11:03

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記事提供元:フィスコ

*11:03JST フルサト・マルカHD Research Memo(3):「モノづくり」市場におけるソリューション力が特徴・強み
■フルサト・マルカホールディングス<7128>の事業概要

1. 事業概要、特徴・強み
セグメント区分は機械・工具、建設資材、建設機械、IoTソリューション(従来のセキュリティを2023年12月期より名称変更)の4区分としている。なお、他にはない独自の解決策を生み出すユニーク・ソリューション・カンパニーを目指し、グループ全体のサービスや商品を統括するブランドを「UNISOL(ユニソル)」(ユニーク(UNIQUE)とソリューション(SOLUTIONS)を組み合わせた造語)としている。また全社ベースで仕入先4,500社、顧客数16,000社の営業基盤を誇っている。

機械・工具は、ジーネット、岐阜商事、マルカ、菅製作所、アルプラス、ティーエスプレシジョン、エムタス・レフ(非連結子会社)、ソノルカエンジニアリング、北九金物工具、海外子会社(北米、中国、東南アジア)が、工作機械、FA機器、産業機械、射出成型機、ロボット、洗浄機械、食品機械、物流機械、フォーミングマシン、CO2冷凍機、機械工具、空気圧機器、切削工具などの販売(一部の製品・部品は自社製造)及びエンジニアリングを展開している。海外売上高比率は約2割となっている。

単なる機械・工具の仕入・卸売ではなく、大手自動車・自動車部品メーカーなど国内外の「モノづくり」市場において産業機械・工具類などを幅広く提供し、それらを組み合わせて顧客の生産ラインの省力化・省エネ化・効率化を実現する提案・設計・構築力、特に顧客の生産現場の課題を顕在化させて解決策を提案するソリューション力などを強みとしている。さらにAI・センシング・クラウドなど、先端テクノロジーを駆使したスマートファクトリーにも対応して「モノづくり」現場を幅広くサポートしている。なお2023年3月にはスマートファクトリー分野の強化に向けてジーネットがアルム(株)(石川県金沢市)と、アルムの「ARUMCODE」シリーズなどの利用を可能とするクラウド型サブスクリプション事業の日本国内における独占販売総代理店契約を含む業務提携契約を締結した。また2024年5月にはジーネットがアルムに出資した。

建設資材はフルサト工業とジーネットが、国内の鉄骨建築と工場配管の市場を中心に、建設事業者(ゼネコン)向け鉄構資材・配管機材・建設資材・住宅設備機器などの製造・販売を展開している。特に、倉庫・工場などの鉄骨建築の骨組みに使用される自社製造製品のフルブレースなどが高い市場シェアを誇っている。なお売上高構成比は非住宅関連が約9割、住宅関連が約1割となっている。

建設機械はマルカとジャパンレンタル(株)が、高所作業車や油圧ショベルなどの建設機械、及び建設資材などの販売・レンタルを展開している。高所作業車をオペレーター(操縦者)付きでレンタルしていることなどを特徴としている。

IoTソリューションはセキュリティデザインが、オフィス・工場・倉庫などのニーズに合わせて防犯・監視カメラ、入退室管理、生態認証などセキュリティ機器販売・システム導入などを展開している。従来は機器販売が中心だったが、トータルソリューションを推進するとともに、モニタリングやセンシングなどIoT分野へ領域を広げ、グループとして注力しているスマートファクトリー事業において重要な役割を担っている。またセキュリティデザインは2023年9月に、AI解析によるスマート畜産システムとして牛の分娩予兆検知システム「UNI-MOW(ユニモウ)」の販売を開始した。これは、京都大学大学院農学研究科と共同研究を進め、ファーマーズサポート(株)(鹿児島県鹿児島市)の協力を得て開発したものである。

2. セグメント別業績推移
セグメント別業績の推移(経営統合後の2022年12月期~2023年12月期及び2024年12月期中間期)は以下のとおりである。売上高構成比で見ると機械・工具が6割~7割、建設資材が3割弱、営業利益構成比で見ると機械・工具が5割前後、建設資材が4割前後を占め、機械・工具と建設資材が主力となっている。また営業利益率で見ると、2024年12月期中間期は機械・工具が減収影響で低下、建設資材が競合影響で低下した。IoTソリューションの営業利益は、サーマルカメラのコロナ禍関連特需が剥落して2022年12月期に赤字となったが、2023年12月期には反動影響の一巡やコスト管理強化によって黒字転換し、さらに2024年12月期中間期には大型案件も寄与して営業利益率が一段と上昇した。


独自のソリューションで差別化

3. リスク要因・収益特性と課題・対策
一般的なリスク要因としては、景気要因による需要変動、競合激化による売上減少や採算性悪化、為替変動、原材料等コスト上昇に対する価格転嫁遅れ、製品開発・技術革新への対応遅れなどが挙げられる。

主力の機械・工具は製造業を中心とする設備投資、建設資材は建設投資の影響を受けるため、景気要因によって需要が変動する可能性がある。このため同社は業績変動リスクの分散を目的として、ビジネスモデルや景気感応度の異なる複数の事業に分散して展開するビジネスポートフォリオ経営を推進している。競合については類似企業が多いものの、同社は独自の提案・ソリューション力を強みとして差別化を図っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《HN》

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