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マクロミル Research Memo(4):2024年6月期は日本事業が好調に推移し、事業利益は2ケタ成長
*13:34JST マクロミル Research Memo(4):2024年6月期は日本事業が好調に推移し、事業利益は2ケタ成長
■マクロミル<3978>の業績動向
1. 2024年6月期の業績概要
2024年6月期の業績は、売上収益43,861百万円(前期比8.0%増)、事業利益5,624百万円(同13.4%増)、営業利益4,470百万円(同0.6%減)、税引前利益4,746百万円(同27.3%増)、継続事業に係る親会社の所有者に帰属する当期利益2,293百万円(同29.0%増)となった。日本事業が好調に推移し、事業利益は生産性の向上により2ケタの増益となった。一方、Toluna社の持分法損失の影響により営業利益は前期並みだった。なお、Toluna社については、2024年6月期は経営統合のPMIに係る費用の発生、欧州をはじめとする事業展開地域の景気の影響を受けて売上が軟調に推移したことから計画外で損失が発生しているが、1年をかけて固定費削減の取り組みが推進された。2026年6月期以降で株式の売却を想定しておりその準備を進めていく計画となっている。
2. セグメント別の事業動向
(1) 日本事業
日本事業は、売上収益37,719百万円(前期比8.0%増)、セグメント事業利益5,422百万円(同22.5%増)となった。注力領域、戦略投資領域、基盤強化領域の各領域で売上収益が順調に拡大した。
注力領域であるオンライン及びデジタルリサーチのサービスでは、前期下期からの積極的な営業活動が効果をあげ、顧客企業との関係が強化された。その結果、売上収益は14,888百万円となり、前期比5.5%増となった。注力領域は売上総利益率が60%以上と利益貢献が最も高い領域であるが、2023年6月期までは軟調であった。コロナ禍からの需要の回復に対して社内リソースが不足していたことが要因であったが、2023年6月期中に解消しており、2024年6月期は離反顧客の呼び戻しや、競合案件の獲得に注力した。人員採用については大幅増員フェーズを脱しており、今後は既存従業員一人ひとりの能力・習熟度を高め1人当たりの対応案件数を増やし外注費を削減していく。売上総利益率の高い注力領域での売上を着実に確保することで、全体の生産性を高めていく。
戦略投資領域であるグローバルリサーチ、コンサルティング、新規事業などのサービスについては、グローバルリサーチ及びコンサルティングが上期に好調であったほか、下期には新規事業の成長が加速したため、売上収益は6,787百万円に達し、前期比12.9%増となった。戦略投資領域は期初計画比では計画ビハインドとなったが、これは他領域と比較して1件当たりの案件規模が大きく売上のボラティリティが高いことが要因である。案件の受発注のタイミングやプロジェクトの終了等によって変動が出やすいが、2ケタ成長を確保した。同領域はマーケットが伸長しており、引き続き高い成長を見込む。
基盤強化領域であるオフライン及びデータ提供、さらにその他広告代理店等との合弁事業を展開する子会社群については、2023年7月にモニタスを子会社化した影響もあり、売上収益は前期比8.5%増の16,043百万円となった。基盤強化領域は合弁事業をはじめ専門性を追求することで安定成長が見込まれる領域であるが、2024年6月期はモニタスを含む子会社群が好調に推移し期初計画を上回った。
費用面では、2023年6月期下期からの増員によって人件費が押し上げられたこと、また新規事業に係る人材やIT人材の採用強化等により、人件費は売上成長率を上回り増加した。一方で、社内リソースの生産性改善や業務の内製化が進み、外注費は抑制され前期を下回った。システム関連費用については、将来に向けた持続的な売上成長と利益改善のための投資(リサーチ基幹システム刷新など)により増加した。
(2) 韓国事業
韓国事業は、売上収益6,142百万円(前期比7.3%増)、セグメント事業利益202百万円(同61.9%減)となった。韓国においては、景気低迷の影響により、政府が実施する公共調査の減少や大手顧客企業のリサーチ予算の縮小など、市場環境が厳しい状況にある。しかし、同社では、韓国の大手リサーチ会社の中で唯一、自社でパネル基盤を保有している利点を生かし、日本で既に実施している購買データ提供などの新規事業を推進しており、自社の構造的な強みを活用したサービス展開を行い、新たな収益源の確保に努めた。第2四半期末には、韓国でのマーケティング施策支援事業を開始するため、広告宣伝事業を展開する企業をM&Aにより取得し協業を進めた。第3四半期以降は景況感悪化の影響が一巡したことや、第4四半期にはM&Aのシナジー効果が現れたことで売上が回復した。また、利益面では人件費の増加や一過性費用の発生により下期は損失が継続したものの、コストコントロールに注力した結果、第4四半期は損益分岐点まで回復した。新たな柱となるサービスへの事業投資を進める一方で、利益面を重視した経営が進められていると弊社では考えている。
3. 財務状況
2024年6月期末の資産合計は前期末比4,948百万円減の89,205百万円となった。流動資産合計は同8,300百万円減の20,986百万円で、現金及び現金同等物7,856百万円、営業債権及びその他の債権675百万円の減少が主な要因である。非流動資産合計は同3,351百万円増の68,218百万円で、その他の金融資産1,494百万円、使用権資産1,221百万円、長期貸付金1,184百万円の増加が主な要因である。負債合計は同8,416百万円減の43,406百万円で、リース負債1,197百万円の増加と社債及び借入金10,421万円の減少が主な要因である。資本合計は同3,468百万円増の45,799百万円で、配当金の支払額1,279百万円、子会社に対する所有持分の変動644百万円の減少があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益2,998百万円、その他の包括利益2,226百万円の発生が主な要因である。個別財政状態における自己資本比率は同3.5ポイント上昇の23.8%、Net Debt/EBITDA倍率は前期末、前四半期からともに回復傾向にある。有利子負債の返済については一定の目途が付いており、2025年6月期はNet Debt/EBITDA倍率も目標圏内に入る見通しである。財務健全性は盤石で短期的な懸念事項はまったくない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)《EY》
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