網屋 Research Memo(7):2025年12月期に売上高6,000百万円、営業利益600百万円を目指す

2024年9月26日 15:07

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記事提供元:フィスコ

*15:07JST 網屋 Research Memo(7):2025年12月期に売上高6,000百万円、営業利益600百万円を目指す
■中期経営計画

網屋<4258>は、2023年12月期から2025年12月期までの3年間を対象とした中期経営計画を推進している。最終年度の2025年12月期の業績目標は、売上高6,000百万円(2023年12月期は3,559百万円)、営業利益600百万円(同363百万円)である。対象期間中の売上高成長率(CAGR)は年率25%超の成長加速を計画している。業績目標達成に向け打ち立てたのが、(1) 新成長戦略のスタート、(2) 主力製品の収益モデル転換、(3) 提携/M&Aによる複合事業化の3つ骨子である。また、主力製品のサブスク化を中心としたストック売上の大幅拡大を目指しており、中期経営計画最終年度である2025年12月期のARRはデータセキュリティ事業では2022年12月期比300%、ネットワークセキュリティ事業では200%の成長を目標としている。

中期経営計画の進捗状況は、直近の決算期である2023年12月期は、売上高3,559百万円(前期比19.2%増)、営業利益は363百万円(同37.9%増)となった。売上高・営業利益ともに過去最高を更新し、期中に2度の上方修正実施後も通期計画を達成した。データセキュリティ事業では主力製品の「ALogシリーズ」が円安効果もあり、順調にパイプラインを進捗した。一方、新事業であるセキュリティ運用サービスの契約増に伴う、人員採用によって売上総利益は減少した。ネットワークセキュリティ事業では、人手を介さずにクラウドで企業の通信インフラを構築できる「Network All Cloud」サービスが好調となり、CAGRは5年連続で20%を越えた。また、円安による仕入額の高騰は販売価格への転嫁が完了し、これにより売上総利益が増加した。営業利益は期初予想に対して129.8%、2度目の上方修正後も101.0%の着地と想定以上の伸長となり、中期経営計画の最終年度に向けて順調に進捗していると弊社では見ている。
「ALogシリーズ」のサブスクモデルへの転換については、新規顧客については2024年4月より完全移行を果たした。既存顧客についても順次シフトする計画である。従来の販売モデルにおいては、新規のソフトウェア購入時に顧客が250〜300万円を導入費用として支払い、その後は約10%を保守費用として顧客が負担していたが、新しく導入されたサブスクモデルでは顧客は150〜200万円を毎年継続して支払うことになる。従来は顧客の総負担額としてソフトウェア導入費用だけに留まらずサーバ費や構築費などが必要であったが、新モデルのクラウド型へ移行することでこれらの負担が不要となり、5年間のサブスクとした場合の総費用は従来型売切りモデルと大きく変わらないように設計されているのがポイントである。また、ログに関しても従来はファイルサーバのみを対象としていたが、「ALogオンプレ版」同様「ALogクラウド版」においてもシステム全域が対象となっており、従来のファイル操作の監視だけに留まらず、サイバー攻撃の監視や怠慢勤務の監視、内部不正の感知などセキュリティ対策をひとまとめにすることができるため、顧客が負担する総費用は軽減できる仕組みとなっている。

また、これまでのオンプレ型の「ALog」においてはサーバ費なども含めた初期導入コストが高額となるなど、準大手・中堅・中小企業においてはサイバーセキュリティへの対策が大企業と比較すると後手に回っていた。一方、セキュリティリスクを意識した顧客やサプライチェーンの上流にある大手企業側が、サプライチェーンの下流にある中小企業に対して、「セキュリティ対策を適切に行っているか」をチェックする動きもあり、これら準大手・中堅・中小企業においても今後セキュリティ対策に本腰を入れる動きが強まることが想定される。同社は「ALog クラウド版」を新たに加えたことで、従来は大手偏重だったものが準大手・中堅・中小企業まで販売領域拡大を見込める。さらにはログをクラウド上に集約できるため、同社がセキュリティの運用を包括受託する事業機会の拡大につながると見られる。それでも顧客にとっては5年間で1,000万円前後の総コストが発生するため、同社では比較的規模が大きな準大手や中堅企業から導入を促進する方針である。今後はさらに導入コストを廉価にした簡易的なクラウド版を導入することで、小規模の企業への導入促進を狙うものと見られる。

また、中長期の展望で、生成AIを活用した「データ分析プラットフォーム」の実装開発を掲げている。様々なデータを活用する取り組みを推進する。SIEM製品からデータ分析ツールへ裾野を広げる戦略は、競合であるSplunkがデータ分析ツールの機能の一部としてログデータの収集・解析を提供しているが、同社は逆アプローチであると言える。システムから出力されるログデータ以外の様々なデータを集める準備は既に整っており、収集したデータをAIにより分析することで、これまで人の勘や経験によって判断していた意思決定の精度を高めるソリューションを提供していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)《EY》

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