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相場展望9月26日号 米国株: 金利大幅利下げで、インフレ再加速の芽が膨らむ可能性 中国株: 中国の金融支援策は、中国金融業界崩壊の防止策に過ぎず 日本株: 円相場は「円高」に転換の可能性⇒日経平均の下落確率高まる
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)9/23、NYダウ+61ドル高、42,124ドル
2)9/24、NYダウ+83ドル高、42,208ドル
3)9/25、NYダウ▲293ドル安、41,914ドル
【前回は】相場展望9月23日号 米国株: FRBの2年余で▲2.5%利下げ決定と見通しは、政治的思惑か? 日本株: 円安で株高基調も、日米選挙を前に「様子見」が強くなる模様
●2.米国株 : 金利大幅利下げで、インフレ再加速の芽が膨らむ可能性
1)FRBの9月金利引下げは、インフレの再加速の芽を膨らませた可能性
・米国総合購買担当者景気指数(PMI)、9月は54.4と、8月の54.6からほぼ横ばい。ただ、サービス業PMIは55.4と、前月8月の55.7と共に節目の50を上回って堅調に推移している。加えて、販売価格指数は54.7と、8月の52.9から上昇し、インフレ再加速を示唆。なお、製造業PMIの9月は49.6と小幅低下。
・小売売上高なども堅調。
・FRBの金利低下決定後、米国の商業用不動産が不調の底を打ち取引が活発化し始めた。商業用不動産価格の上昇が期待されるようになった。
・FRBは政策金利を9月に▲0.5%と大幅引下げを決定、さらに年内に追加利下げに言及している。FRBは、今後2年余りで合計▲2.5%もの金利引下げの見通しも公表した。今までのFRBはデータを慎重に確認してから政策金利を判断している。だから、FRBの決定は、遅れるのが今までの常だった。ところが9月のFRBの決定は、「データに基づかない利下げ」を行った。それだけに、今回の金利引下げ、しかも大幅な引下げ決定は素直に受け止られない。米国大統領選挙を前にした、民主党候補支持という政治的判断による利下げであったとしか思えない。共和党員であるパウエルFRB議長は、民主党のバイデン大統領から再任を得て今日にある。インフレ懸念が残る中での大幅利下げを実施した場合、インフレが再加速に点火したケースでの火消しは、とんでもない代償を払うことになる。
●3.ミネアポリス連銀総裁、年内さらに▲0.5%の米国金利下げを支持(ブルームバーグ)
●4.FRB、一段の利下げ実施へ、経済軟着陸に向け=シカゴ連銀総裁(ロイター)
●5.バークシャー、BofA株を1,230億円相当を追加売却し、保有比率10.5%(ブルームバーグ)
●6.新日鉄のUSスチールの買収を仲裁委員会は支持すると裁定、労組は同意せず(ロイターより抜粋)
1)仲裁委員会は、USスチールと全米鉄鋼労組(USW)が選出したメンバーで構成。仲裁委員会は、USスチールがUSWと結んだ基本労働協約の継承事項の全ての条件が満たされているとの判断を下した。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)9/23、上海総合+12高、2,748
2)9/24、上海総合+114高、2,863
3)9/25、上海総合+33高、2,896
●2.中国株:中国の金融支援策は金融業界崩壊の防止策に過ぎず、中国経済への本格支援策ではない
1)9/24の上海総合指数は前日比+114高・+4.15%高と急伸した。上昇の要因は、金融支援策の発表を好感したことににあった。9/25も金融支援策発表の余韻で、上海総合指数は前日比+33高・+1.16%高となる。
2)中国の銀行経営は苦戦している。
・苦戦の要因
・住宅販売支援として住宅ローン金利引下げを求められ、利ザヤが悪化。
・地方政府の第3セクターである地方平台の融資が多く、焦げ付き懸念もあり、融資資金が回収できず。
・国家政策の「一帯一路」で外国融資が増加したが、貸出債権に焦げ付きが発生。
・結果、銀行の適正なマージン率は+1.80%であるが、6月時点では+1.54%と大きく悪化している。当局は、住宅販売促進策として、住宅ローン金利を▲0.8%の引下げを提案している。銀行経営はさらなる悪化懸念が増すことになる。
・苦境にある銀行を今以上に追い込むと銀行破綻⇒金融崩壊が現実化するリスクが大きくなる。当局は金融崩のリスク回避のための施策が必要となった。銀行の資本増強は、銀行の体力を高める目的だろう。いずれにしても中国6大銀行は、国有銀行である。政府による資本注入を、中国景気対策の一環としてみるには無理があろう。
3)中国証券不況で買い支えてきた「国家隊」の損失膨張対策に迫られた
・中国証券市況は今年最低値近辺に到達し、今まで株価下落時に市場から防戦買いをしていた「国家隊」の含み損失が膨らんだ。
・国家隊とは、政府系ファンドや株価を買い支えた国有企業を指す。
4)上記の金融業界の崩壊を防ぐ目的として、3者の記者会見があったとみる。
・3者とは、(1)中国人民銀行・総裁、(2)国家金融監督管理総局・総局長 (3)中国証券監督管理委員会・主席。
このメンバーをみても分かるように、業界の責任者である。
・中国経済を救済する目的の記者会見ではないことが分かる。あくまで金融業界の苦境を打開するための方策を述べた記者会見にすぎない。
5)今週は中国株式市場の上昇がはやされたが、本格的な株価上昇期待はできない。
・なぜなら、中国経済の復活や企業収益の増益が担保される記者会見内容ではなかったからだ。
●3.中国、極貧層に1回限りの現金給付実施へ、異例の家計直接支援(ブルームバーグより抜粋)
1)4月の政府発表によると、財政省と民政省は極貧層向けの家計支援・補助金として1,547億元(約3兆1,700億円)の予算を計上していた。民政省は国内の極貧層は474万人としている。なお、現時点では支給額は不明。
2)習近平・総書記は、福利主義と呼ぶ措置は長らく避けてきただけに、路線変更したと見受けられる。今回の措置の直前に、景気減速に歯止めをかけるため、
(1)金利引下げ
(2)金融緩和
を発表していた。
●4.中国自動車販売代理店、新車大幅値引きで打撃、業界団体が懸念表明(ロイター)
1)中国の自動車販売代理店が今年1~8月に、新車の大幅値引きの影響を受け、合計で▲1,380億元(約▲2兆8,000億円)の損失を被ったことが9/23に明らかになった。中国自動車流通協会(CADA)が政府当局に提出した報告書で分かった。CADAのデータによると、8月の新車値引き率は全体で▲17.4%だったという。
●5.オランダがAMSL製「露光装置」の輸出規制を強化、対中国禁輸を米国並み(東洋経済)
●6.中国の映画興行収入、夏は▲44%減、「ゼロコロナ」後の盛り返し失速(朝日新聞)
1)ヒット作品不足に加え、経済の不調で消費者の財布のヒモが固くなっていることも要因になっているようだ。
●7.金杉・中国大使「日系企業の対中国ビジネスは大きな岐路」、遼寧省トップと会談(TBS)
1)遼寧省には1,800社以上の日系企業が進出している。
2)危機感を示し、日本人学校の警備を強化するなど、日本人の安全確保を要請した。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)9/23、祝日「秋分の日」の振替で休場
2)9/24、日経平均+216円高、37,940円
3)9/25、日経平均▲70円安、37,870円
●2.日本株 : 円相場は「円安⇒円高」に転換の可能性⇒日経平均の下落確率高まる
1)円相場は「円安⇒円高」に転換の可能性がでる ⇒ 日経平均の下落確率高まる
・円高となる要因
・米国消費者信頼感指数の悪化。
・米国大幅利下げ観測の高まりで、日米金利差が縮小傾向。
・日銀の金利引上げ基調から、日米金利差が縮小へ。
・円相場と日経平均の推移
・ 9/18 9/19 9/20 9/24 9/25 9/18比
日本時間 141.59円 142.73 142.12 144.18 143.42 1.83円安
米国時間 142.63 143.91 143.91 143.23 144.61 1.98円安
日経平均 +176円高+775 +568 +216 ▲70円安
・米国時間では9/18⇒9/24間で0.98円安だが、日本時間では2.59円もの円安。海外短期筋が「円売り」して円安に誘導し、日本株を上昇させたとみる。9/25は、さすがに円安進行が息切れして0.76円の円高となり、日経平均は小幅ながら▲70円下落した。
2)日経平均は乱高下が始まり、次のステージに向かう「踊り場」となるか
・9/24の日経平均は、朝高で前日比+700円超上昇⇒終値+216円高に失速。
9/24の日経平均も、朝高で前日比+200円超上昇⇒終値▲70円安と失速。
3)9/26は、前日の米国時間で「円安」進行となり、朝高から始まると予想
・9/25の日本時間では、前日比「円高」となっているため、
9/26朝方は「円安」でスタートするため日経平均は大幅高で始まると予想する。
・その後の円相場の動向に注目したい。
・日米金利差の縮小の観点からは、次第に日経平均の上値は重くなるとみる。
・ただ、NYダウと比較すると、日経平均は「割安」な位置にはある。
・なお、昨日は中国関連銘柄で上昇が目立ったが、深い入れはリスクがある。中国の根本的な経済対策は出されていない。
●3.トヨタ、豊田自動織機が米国で集団訴訟、ファークリフトエンジン排ガス問題で(ロイター)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4301 アミューズ 四半期決算が好調。
・7735 SCREEN 業績堅調。
・9508 九州電力 決算好調。
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