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ラバブルマーケティンググループは底放れの動き、25年10月期も収益拡大基調
ラバブルマーケティンググループ<9254>(東証グロース)は大企業・ブランド向けを中心とするSNSマーケティング支援などを展開し、成長戦略としてSNSマーケティング事業の拡大加速、DX支援事業の基幹事業化、東南アジアを中心とする海外展開、新しいテクノロジーを活用した新規事業の育成、サステナビリティマネジメントを推進している。24年10月期はSNSマーケティング事業における新規受注増加が牽引して高成長を継続する見込みとしている。積極的な事業展開で25年10月期も収益拡大基調だろう。株価は小幅レンジでモミ合う形だが、徐々に水準を切り上げて底放れの動きを強めている。出直りを期待したい。
■SNSマーケティング事業を主力としてDX支援事業も展開
企業やブランドのSNSマーケティングを支援するSNSマーケティング事業を主力とする持株会社である。SNS普及期の08年に設立(コムニコ設立、14年に純粋持株会社へ移行)して培ったSNSマーケティングに関する豊富なノウハウを強みとしている。さらに第2の柱としてDX支援事業も展開している。
子会社はSNSマーケティング事業のコムニコ、23年4月に設立したジソウ、一般社団法人SNSエキスパート協会、23年4月に子会社化(出資比率49%)したタイのDTK AD、DX支援事業のDXディライト(旧24-7が23年4月に社名変更)である。一般社団法人SNSエキスパート協会は、SNSに関する正しい知識の普及と効果的かつ安全にSNSを活用できる人材育成を目的として、コムニコが16年11月に設立した法人である。理事の派遣を通じて実質的に支配しているため子会社としている。24年4月には同社およびグループ3社・1団体(コムニコ、ジソウ、SNSエキスパート協会、DXディライト)が、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格ISO/IEC27001:2022の認証を取得した。
なお8月5日に、デジタル領域を中心にWeb制作・マーケティング支援を行うユニオンネットを子会社化(株式譲渡24年11月1日予定)すると発表した。
23年10月期(決算期変更に伴う経過期間で7カ月決算のため利益の大半を計上する年末および年度末の需要期を含まない)は、SNSマーケティング事業の売上高が9億78百万円(内訳は運用支援77.2%、運用支援ツール提供21.6%、教育1.2%)で営業利益(全社費用等調整前)が2億46百万円、DX支援事業の売上高が47百万円で営業利益が6百万円の損失だった。
■SNSマーケティング事業は運用支援~ツール提供~教育の好循環で成長
SNSマーケティング事業は、SNSマーケティングに関する運用支援~運用支援ツール提供~人材教育サービスという3つのソリューションで構成されている。企業のSNSマーケティングのオペレーションをフルサポートし、3つのソリューションが相互補完しながら好循環で成長するビジネスモデルを特徴としている。
コムニコは予算規模の大きい大企業やブランド、ジソウは中堅・中小企業など小規模でSNS運用する企業・団体向けを主たるターゲットとして展開している。なおコムニコは、23年7月にデジタル広告市場の健全化を目的とする認証機構JICDAQより品質認証事業者としての認証を取得、23年12月に経済産業省が推進する「IT導入補助金2023」においてIT導入支援事業者に認定された。SNSエキスパート協会は人材教育サービスを展開している。
運用支援は、SaaS型SNS運用支援(アカウント投稿・分析)ツールcomnico Marketing Suiteや、SNSキャンペーン支援ツールATELUにより、顧客企業のSNSアカウント戦略策定からアカウント開設、運用支援・代行、投稿コンテンツ制作、コメント対応、キャンペーン企画・運営、広告出稿、レポート作成、効果検証までをワンストップサービスで提供(受託)している。ATELUのキャンペーン実施数は24年5月末時点で累計1.1万件を突破した。
新ツール・サービスの開発では、23年3月にInstagramのダイレクトメッセージの自動応答に対応するチャットボットツールautouを開始、24年2月にコムニコとジソウがSNSサービス「Bluesky」活用支援サービスを開始、24年5月にジソウが生成AI機能を搭載したMEOツール・運用代行サービスを開始、生成AI機能を搭載したGoogleビジネスプロフィール管理ツール「ジソウマップ」の販売を開始、24年7月にはジソウがOTA(Online Travel Agent)運用支援サービスを開始した。
人材教育サービスは、SNSエキスパート協会がSNSアカウント開設・運用に係るノウハウや、炎上などSNSに潜むリスクに関する内容を体系化した検定講座を開発・提供している。このほかにセミナー、講演、書籍、メディアを通してSNSに関する正しい知識の普及・啓蒙活動にも努めている。社内人材のプロ化にもつながり、3つのソリューションの相乗効果を高めている。
■海外は東南アジアを中心に展開強化
海外は23年4月にDTK ADを子会社化し、東南アジアを中心にインバウンドプロモーションや海外マーケティング支援の事業展開を開始した。23年7月にはアジア向け越境ECを支援するアジアンブリッジと資本業務提携し、DTK ADとアジアンブリッジがサービス提供エリアを拡大している。
23年8月にはVIDA Corporationおよびプログレッソ ディレクションと協業して「お試し出店サービス」を開始した。海外出店を希望する飲食事業者に対し、期間限定で海外に出店するために必要な戦略の策定、テナントの紹介、仕入業者の手配、集客のためのマーケティングソリューションなどを提供する。23年10月にはマレーシアにおける「お試し出店サービス」の展開促進を目的として、VIDA Corporation、プログレッソ ディレクションおよびザクロスと共同で、マレーシアに合弁会社TASTE FOOD JAPANを設立した。
24年5月には「お試し出店サービス」第2弾のプロジェクトとして、富山ブラックラーメン「麺家いろは」のマレーシア初進出支援が決定した。同店初の試みとなる「ハラル」メニュー提供店舗として出店する。24年6月にはマレーシアに現地法人を設立した。
今後の海外展開としては、その他のアジア地域にも支援領域を拡大し、東南アジアに進出する日系企業のマーケティング支援や東南アジアからのインバウンド需要の獲得、双方の顧客に対するアップセル・クロスセルにより、海外事業拡大を目指す方針としている。
■大手企業・ブランド向け運用支援が中心
SNSマーケティング事業の主な収益は、SaaS型月額課金の運用支援ツール利用料、月額課金の運用支援基本料金、従量課金のコンテンツ制作料金(企画数、原稿作成、撮影数など投稿数によって変動)である。受注は大手広告代理店経由と直接受注がある。23年3月期の継続契約率はcomnico Marketing Suiteが98%以上、ATELUが97%以上と高水準である。
同社のSNSマーケティング運用支援は大手企業を中心に銀行、小売、情報通信、飲食サービス、自治体など多種多様な企業・官公庁に幅広く導入されている。多数のブランドを展開する企業がブランド毎にSNSアカウントを運用するケースが増えているため、大型案件の受注が増加傾向となっている。複数アカウントのクライアント例(23年10月末時点)としては、大手ITグループ245アカウント、大手自動車メーカー166アカウント、大手IP会社41アカウント、大手出版社41アカウント、ライフスタイルブランド会社26アカウント、大手ホテル運営会社20アカウントなどがある。
■主要KPI
23年10月期(7カ月決算)のSNS運用支援新規受注件数は294件(12カ月決算の23年3月期は385件)となり、23年10月末時点のロイヤルクライアント(年間取引高10百万円以上の顧客)は22年10月末比4社増加の40社となった。また23年7月~10月のARR(年間経常収益)は2億71百万円で、解約率は1.61%だった。
23年10月末時点のSNS運用支援ツール累計契約件数は23年3月末比47件増加の540件(comnico Marketing Suiteが22件増加の396件、ATELUが21件増加の133件、その他が4件増加の11件)となった。comnico Marketing Suiteの4アカウント以上契約社数は22年10月末比18社増加して84社となった。
人材教育サービスでは、23年10月末時点の累計検定受講者数(SNSリスクマネジメント検定、SNSエキスパート初級、SNSエキスパート上級)が5566人となった。なお24年5月末には累計6000人を突破した。
■成長に向けてDX支援や新規事業も育成
同社は大企業・ブランド向けを中心とするSNSマーケティング支援を主力に、成長戦略としてSNSマーケティング事業の拡大加速、DX支援事業の基幹事業化、東南アジアを中心とする海外展開、新しいテクノロジーを活用した新規事業の育成、サステナビリティマネジメントなどを推進している。
SNSマーケティング事業は「SNSマーケティングの総合代理店としてのシェアNO.1」を目指し、事業拡大(運用支援数拡大、支援領域拡大、運用支援ツール拡大)に向けた重点施策として、運用支援および運用支援ツール提供では付加価値の高いサービスの提供、サービス品質とコンテンツパフォーマンスの向上、新サービスの開発・拡充、SaaS型クラウドツールのクロスセル、カスタマーサクセスの実現、幅広いSNSプラットフォームへの対応とサービス拡充などを推進する。人材教育サービスではマーケティング強化によるブランディング、検定受講者数の拡大、法人向けサービスメニューの拡大などを推進する。こうした成長戦略を支えるため積極的な人材投資を継続する。
成長に向けた育成事業と位置付けているDX支援事業は、DXディライトがSalesforceを中心にMA、CRM、SFAなどの導入・運用支援を展開している。12年にHubSpot社のMAツールHubSpotの取り扱いを開始し、20年1月にはSalesforceコンサルティングパートナーに認定されてSalesforce社のMAツールPardotの取り扱いを開始した。さらなる事業拡大に向けてSFA・CRM領域の開発案件新規開拓、SFA領域における事業提携などを推進している。
新規事業に関しては、SNSに関する豊富なノウハウと新たなテクノロジーを活用し、NFTやメタバースなどWeb3領域における新サービス開発・提供を目指す方針だ。22年9月にはコムニコが、XR技術を活用したソリューションABALシステムを提供するABALと協業した。SNSプラットフォームとバーチャル空間を組み合わせて、Web3時代のSNSマーケティングソリューションに関する新サービスの共同開発・提供を推進する。またコムニコはWeb3スタートアップ企業のプレイシンクと協業し、秘密鍵の管理不要なNFT保有手段を開発してNFT領域に参入する。一部のデジタルリテラシーの高いユーザーのみが保有していたNFTをより多くのユーザーに届けることができ、これまでのプレゼントキャンペーンよりもさらに強いファン層の参加を促し、かつX(旧Twitter)キャンペーンよりもリアルタイム性のあるキャンペーン設計が可能となる。
24年5月にはABALと共同企画した「メタビズXR」サービスの提供を開始した。最先端のXR技術を活用し、メタバースとマーケティングを掛け合わせた新たなソリューションである。
さらにChatGPTなどAIの積極活用にも取り組んでいる。自社内での活用による業務効率化にとどまらず、顧客のSNSマーケティングの業務効率化や品質向上に向けてAIを活用した新サービス開発も推進する。23年9月にはコムニコがギブリー社と販売代理店契約を締結し、ギブリー社が開発・提供するChatGPT活用プラットフォーム「法人GAI」「行政GAI」の代理販売を開始した。
■アライアンスを積極活用
アライアンス戦略として、22年11月にTikTok支援を得意とするmemeと資本業務提携した。23年1月にはコムニコが、note<5243>が22年9月から開始しているnote proセールスパートナー制度のパートナー企業に認定された。23年3月にはDXディライトがオプロのパートナー企業となり、オプロが提供するBtoBサブスクリプション管理サービス「ソアスク」の企業向け導入支援を開始した。23年11月にはコムニコが、マンガマーケティングを提供しているシンフィールドと提携し、SNS×マンガのマーケティング支援を開始した。24年7月にはコムニコが、企業ブランディング支援を行う揚羽と業務提携した。
■サステナビリティマネジメントで人材戦略を重視
同社は、メンバーが輝くことできる「働きがいのある組織」が全活動のベースとなり、そこから生み出される事業活動によって社会の持続可能な発展に貢献するとの考え方に基づき、この循環の創造を目指してサステナビリティマネジメントを推進している。22年10月には本社を移転した。新しい発見やイノベーションが生まれる基地として多様な働き方を推進し、社員の定着、職場の一体感やエンゲージメントの向上を図る方針としている。
23年5月には従業員の働き方や成長をサポートする制度の総称を「ララサポ」に決定した。Lovable Life(ラバブルな人生)をサポートするため、環境サポート、成長サポート、健康サポート、出産・育児サポート、介護サポート、休暇制度、コミュニケーション、表彰制度、その他の9つのカテゴリーがあり、現時点で全39項目が定められている。23年12月には女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」の最高位である3つ星の認定を取得した。24年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2024(大規模法人部門)に認定された。2年連続の認定となる。
■24年10月期3Q累計利益は通期予想を超過達成
24年10月期(23年11月~24年10月の12カ月決算、23年10月期は決算期変更で23年4月~23年10月の7カ月決算)の連結業績予想は、売上高が20億円、営業利益が1億円、経常利益が1億円、親会社株主帰属当期純利益が60百万円としている。
第3四半期累計(23年11月~24年7月)の連結業績は、売上高が15億88百万円、営業利益が1億55百万円、経常利益が1億66百万円、親会社株主帰属四半期純利益が81百万円だった。
前期が23年4月~23年10月の7か月決算だったため前年同期との比較はできないが、前年同期間の社内参考値(監査法人による監査を受けていない参考値)との比較で売上高が19.0%増収、営業利益が36.7%増益、経常利益が43.3%増益、親会社株主帰属四半期純利益が36.0%増益の大幅増収増益だった。
主力のSNSマーケティング事業の好調が牽引し、生産性向上なども寄与した。そして各利益は通期予想を超過達成した。事業別売上高は、SNSマーケティング事業が20.0%増の15億20百万円(売上構成比は運用支援が78.8%、運用支援ツール提供が20.4%、教育が0.8%)で、DX支援事業が4.1%増の67百万円だった。
主要KPIとして、SNSマーケティング事業の運用支援の新規受注件数は前年同期間比10.0%増の374件、24年7月末時点のロイヤルクライアント数(年間取引高10百万円以上の顧客)は23年7月末比横ばいの40社、上位10社平均取引高は前年同期比14.5%増の約5905万円、SNS運用支援ツールの24年7月時点の合計契約件数は前年同期比6.2%増の568件、そして24年7月時点のARR(年間経常収益=各四半期末の月末MRRを12倍にして算出)は前年同期比3.5%増の2億80百万円で過去最高となった。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が5億04百万円で営業利益が49百万円、第2四半期は売上高が5億88百万円で営業利益が96百万円、第3四半期は売上高が4億96百万円で営業利益が10百万円だった。
通期(23年11月~24年10月の12カ月決算)の連結業績予想は据え置いている。参考値として前年同期間(22年11月~23年10月)との比較では売上高は3億46百万円(20.9%)増収、営業利益は19百万円(24.5%)増益、経常利益は20百万円(25.1%)増益、親会社株主帰属当期純利益は15百万円(35.3%)増益となる。
引き続き主力のSNSマーケティング事業における新規受注の増加などにより、高成長を継続する見込みとしている。通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が78.4%、営業利益が155.0%、経常利益が166.0%、親会社株主帰属当期純利益が135.0%となる。年末および年度末が需要期であることを考慮しても概ね順調な水準である。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度を新設
24年3月19日に株主優待制度の新設を発表した。24年4月末日および24年10月末日時点の同社株主名簿に同一株主番号で連続2回以上記載または記録され、同社株式を100株以上、半年以上継続保有する株主を対象にQUOカード1000円分を贈呈する。以降の優待対象については詳細が決定次第公表する。
■株価は底放れの動き
9月17日に東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により、自己株式14万株を取得した。
株価は小幅レンジでモミ合う形だが、徐々に水準を切り上げて底放れの動きを強めている。出直りを期待したい。9月20日の終値は1640円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円47銭で算出)は約40倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS381円66銭で算出)は約4.3倍、そして時価総額は約24億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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