相場展望9月12日号 米国株: 金利引下げは9月FOMCの9/18、テレビ討論会はハリス優位 日本株: 今日の株高は、7日続落で▲3,081円安の反動高の可能性

2024年9月12日 09:53

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/09、NYダウ+484ドル高、40,829ドル
 2)9/10、NYダウ▲92ドル安、40,736ドル
 3)9/11、NYダウ+124ドル高、40,861ドル

【前回は】相場展望9月9日号 米国株: 半導体株指数が崩れ、米国経済の後退見立てで、高値警戒感 日本株: (1)円高進行(2)半導体株安(3)海外短期筋の先物売りで3重苦

●2.米国株:米国金利引下げは9月FOMCのある9/18、テレビ討論会はハリス優位

 1)米国FRBが9月に4年半ぶりとなる「金利引下げ」に踏み切ることは確実
  ・問題は、利下げ率に焦点が移った。
   (1)▲0.25%下げ
   (2)▲0.50%下げ
  ・株式市場はもちろん▲0.50%の大幅引下げを期待している。
  ・米国8月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.5%とインフレが鈍化を示唆。しかし、エネルギーと食品を除いたコア指数は前年比+3.2%上昇で、前月比+0.2%上昇しインフレ鈍化とは言い難い数値となった。そのため、9月利下げ幅は「▲0.25%」が確実視。利下げ決定は時期は、FRBが9/17~18に開催する米国連邦公開市場委員会(FOMC)において決定される見通し。

 2)米国大統領選を巡るテレビ討論会で、ハリス氏が優勢で、株式にはマイナス
  ・候補者の政策の違い
   (1)トランプ氏は「法人税率15%」に引下げ
   (2)ハリス氏は「生活弱者への減税」
  ・ハリス氏が優位との判定があり、企業の純利益増加を意識する投資家からは期待が遠のくとして、株式の売りが目立つ展開になった。

 3)株式相場はダウン⇒アップの激しい展開
  ・9/11午前にNYダウは▲700ドル超の下落。
  ・テレビ討論会ではハリス氏が優位に進めたが、世論調査では両者の支持率がまだ拮抗している。そのため、トランプ氏が土俵に残っているとして、株式市場では買い戻される動きにつながった。
  ・売り一巡後、昨日まで大きく売り込まれていた半導体株が買われた。ハイテク株比率が高いナスダック総合指数が上昇した。人工知能(AI)の希望とされるエヌビディアが買い直され、NYダウの上昇に寄与した。エヌビディアの9/11の株価は、+8.15%高で終値は116.91ドル。
  ・米国主要株価指数の9/11終値での上昇率
    NYダウ     +0.31%高
    ナスダック総合 +2.17
    S&P500     +1.07
    半導体株(SOX) +4.90

●3.米国8月消費者物価指数は前年比+2.5%と予想+2.6%を下回り、インフレ鈍化(Quick)

 1)7月の+2.9%上昇から伸びが鈍化した。

 2)エネルギーと食品を除くコア指数の伸び率は前年同期比+3.2%上昇で、市場予想と一致した。

 3)上昇幅は前月比+0.2%だったが、基調インフレはやや粘着性がみられ、米国連邦準備理事会(FRB)による来週の政策決定では下げ幅が▲0.50%には至らない可能性がある。(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/09、上海総合▲29安、2,736
 2)9/10、上海総合+7高、2,744
 3)9/11、上海総合▲22安、2,721

●2.上海総合指数は反落、中秋節の連休を前にリスク回避の売りが優勢(トレダーズ)

●3.中国8月新車販売台数は前年同月比▲5%減、3カ月連続減少、国内販売低迷で(NHKより抜粋

 1)新車販売の8割近くを占める中国国内での販売台数が、消費者の間で節約志向が強まるなか、去年の同月と比べて▲10.7%減ったことが主な要因。
 2)輸出は拡大が続いているものの、中国製EV(電気自動車)を巡って欧米で関税引上げの動きが出ていて、先行きは不透明感が広がっている。

●4.欧州企業、対中国投資意欲が減退、EU商工会議所「収益化困難に」(ロイター)

 1)中国政府が需要を押し上げる信頼性可能な計画を持っているのか、約束している改革を実行できるのか疑問視しており、中国への投資意欲を減退させているとする報告書を公表した。会頭は、「中国市場で収益を上げることはかなり難しくなった」と語った。

 2)欧州委員会のデータによると、2023年のEUの対中国投資フローは前年比▲29%減の64億ユーロ(70.6億ドル)だった。

●5.ホンダ、中国3工場を一時稼働停止、販売3割減で迫られた生産調整(朝日新聞より抜粋

 1)ホンダは中国で生産調整に乗り出した。在庫が積み上がっていることから、中国にある7工場のうち3工場で、8月下旬から稼働を一時止めている。電気自動車(EV)のシェアが伸びる中国市場で、ガソリン車中心の日系メーカーの苦戦が一段と際立っている。

●6.中国、アフリカの債務免除に踏み込まず、新たな資金拠出約束(ロイターより抜粋

 1)中国は9/4~6に開いた「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」で、アフリカ諸国の多くが求めていた債務免除には踏み込まないものの、今後3年間にアフリカ支援に3,600億元(7兆220億円)を拠出すると表明した。

 2)中国はFOCACをてこに、対アフリカ政策で欧米や日本に対抗しようとしており、今回はアフリカから50を超える国の指導者が参加した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/09、日経平均▲175円安、36,215円 
 2)9/10、日経平均▲56円安、36,159円  
 3)9/11、日経平均▲539円安、35,619円 

●2.日本株:今日の株高は、7日続落で▲3,081円安の反動高となる可能性に注意

 1)9/11は円高基調が強く、日経平均は▲539円安
  ・9/11に中川・日銀審議委員の講演会での発言「金融緩和を調整する」があり、金利高の方向性を示唆した。これは日米金利差が縮小を指し、円高基調を誘引する。
  ・この発言をきっかけに一時140.71円と8カ月ぶりの円高に急伸した。
  ・その後、ドルが買われ一時143円台まで円安が進行した。
  ・ただ、テレビ討論を受け、ドルの先安感から米国時間で再び円高・ドル安となった。

 2)9/12の東京株式市場では、大幅高を予想
  ・大幅高となる要因
   (1)9/11の米国で142.51円と円安が進行。
   (2)9/11の空売り比率が異様に高い48.8。
     この反動による買い戻しが入ると予想。
   (3)日米金利差が縮小し、円安傾向をサポート。
   (4)米国半導体株の大幅上昇が日経平均に波及し、値がさ株ハイテク株が上昇。
   (5)7日続落した大幅安の反動高が出る。

 3)日米金利差の縮小傾向は変わらず、円高基調は続く
  ・今日の日経平均の大幅上昇は、7日間で▲3,081 円安となった反動高で終わる可能性に注意したい。

●3.円8カ月ぶり高値、日銀委員発言に反応、株式は下げ加速(ブルームバーグ)

 1)日本銀行の中川順子・審議委員が講演で、経済・物価見通しが実現していけば、金融緩和の度合いを調整するとの姿勢を改めて示し、円買いの動きは強まった。

●4.米当局、クシュタールのセブン&アイ買収で反トラスト法(独禁法)懸念で調査(ロイター)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・3182 オイシックス・ラ・大地  業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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