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セレンディップ Research Memo(7):期ズレや先行費用発生も、2024年3月期は過去最高の業績を達成
*14:07JST セレンディップ Research Memo(7):期ズレや先行費用発生も、2024年3月期は過去最高の業績を達成
■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
セレンディップ・ホールディングス<7318>の2024年3月期の業績は、売上高19,787百万円(前期比30.2%増)、営業利益477百万円(同47.0%増)、経常利益595百万円(同71.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は518百万円(同66.0%増)と過去最高の業績となった。期初予想との比較では、売上高で2,987百万円、営業利益で30百万円、経常利益で225百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で288百万円の過達となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の額が大きくなったのは、子会社のグループイン前の不良債権を無税償却したためである。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類引き下げや雇用・所得環境の改善によって緩やかな回復が続くことが期待されたが、物価上昇や世界的な金融引き締め、中国経済の先行き不安など海外景気の下振れが懸念され、不透明な状況が継続した。同社の事業領域である「モノづくり(経営)」においては、半導体を中心とした部品の供給不足が解消し、自動車メーカーの国内生産が高水準で推移した。もう1つの事業領域である中堅・中小企業の「事業承継(投資)」においては、後継者問題などが深刻化するなか、コロナ禍で経済・社会活動が停滞した影響により事業承継手段としてのM&Aニーズが一段と増加した。この結果、売上高、利益ともに大幅な増加となった。
ただし、期初予想との比較では前述したように売上高も利益も過達となったが、第2四半期決算発表時の修正予想に対しては、売上高で687百万円の過達となったものの、営業利益で122百万円、経常利益で44百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で1百万円の未達となった。これは第4四半期において、M&A費用の発生や協働ロボットなど売上高の2024年4月以降への期ズレ、設備維持費用の前倒しなどが要因で、織り込みづらいM&Aを含めて読みがやや甘かった点は否定できず、予実管理は今後の課題と言えよう。
セグメント別では、モノづくり事業のオートモーティブサプライヤー(自動車内外装部品製造、自動車精密部品製造)で、半導体など部品供給不足が解消したことで自動車メーカーの国内生産が高水準で推移するなか、生産性向上に向けて製造スタッフの多能工化を推進した。前期に受注が回復したFA装置製造は、年間を通じて受注確定に遅れが生じた。試作品製作は2023年1月10日に連結子会社化したアペックスが通期寄与したのみならず、モノづくりが回復するなかで引き合いが強まった。この結果、売上高は18,522百万円(前期比30.2%増)、第4四半期にレディーバードM&A費用や前倒し費用が発生したもののセグメント利益484百万円(同24.4%増)となった。
プロフェッショナル・ソリューション事業のコンサルティングでは、事業承継や事業再生の案件、基幹システム再構築などITコンサルティングの案件が増加、同社コンサルティング事業部の売上高は前期比46.7%増と大きく伸びた。エンジニア派遣・受託開発では、経営基盤やエンジニアのリスキリングの強化、コンサルティング事業部と連携したIoTソリューションの開発とDXに注力した。この結果、売上高は1,437百万円(前期比12.8%増)となったが、案件増加に伴う積極的な人材採用によりセグメント損失は124百万円(前期は53百万円のセグメント損失)となった。
インベストメント事業では、モノづくり企業を中心とした再生型事業承継支援サービス、フィナンシャル・アドバイザリーなどの企業経営サポートを積極的に推進、特にフィナンシャル・アドバイザリーの売上高が増加した。また、2023年2月に組成した「日本ものづくり事業承継基金1号投資事業有限責任組合」で管理報酬の受取が発生、収益寄与を開始した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《HN》
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