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JAXA、小型月着陸実証機「SLIM」の月面活動を終了
SLIMの月面での着陸風景(画像: JAXAの発表資料より)[写真拡大]
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、小型月着陸実証機(SLIM)の月面活動を終了したと発表した。JAXAが2023年9月7日に打ち上げたSLIMは、2024年1月20日に日本で初めて月面軟着陸に成功し、世界初となるピンポイント着陸(狙った場所から100m以内)にも成功したが、その後の運用は順風満帆とはいかなかった。
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月面着陸時には、障害物を避けるため、SLIMに搭載されたカメラからの情報に基づき地上からリアルタイムで制御する予定だった。だが月面上空50mに差し掛かった時点で異常が検知され、それまで順調に行われていた地上からの着陸制御を、SLIMの自律制御に切り替えて運用せざるを得なくなった。
その結果、月面上空50mの時点で着陸予定地点から4mという高精度での着陸が可能な状況にあったものの、異常検知後、自律制御に切り替え、着陸地点が予定位置から55m離れた場所への軟着陸となった。さらに太陽電池が西向きという着陸姿勢となり、太陽光発電時間が極端に短くなる不運にも見舞われた。
それでもJAXAは、SLIMの月面での運用をあきらめることなく、太陽電池を着陸直後にいったんオフにしたものの、太陽電池に日光が当たるタイミングまで待ったうえで、月面での観測運用にチャレンジした。太陽電池が作動するタイミングはおおむね毎月下旬の数日間だが、この運用で2024年1月下旬から6月下旬にかけ、合計6回の月面観測が試みられたが、5月以降SLIMとの通信が困難になり、8月26日の公表に至った形だ。
SLIMの故障個所はまだ特定されていないが、月面での昼間は100度以上に温度上昇し、夜間はマイナス100度以下にまで降下するため、JAXAではむしろこの過酷な条件下で3度にわたる夜を超えての観測ができたことは、目標を上回る成果だとしている。
ピンポイント着陸成功に加え、マルチバンド分光カメラMBCによる10バンド波長の分光観測の成功もあり、運用終了のニュースは残念だったが、収穫は十分にあった。今回のミッションについてはまだ成果の詳細情報の公表はないが、JAXAはこれまでに得られた情報を総括したうえで改めて報告するとしている。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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