相場展望8月8日号 米国株: 8月に入り軟調が気懸り、新リード役期待の中小型株は力不足 日本株: 8月上旬の相場変動要因、海外短期筋が暗躍、米国金利引下げに備えを

2024年8月8日 11:03

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)8/5、NYダウ▲1,033ドル安、38,703ドル
 2)8/6、NYダウ+294ドル高、38,997ドル 
 3)8/7、NYダウ▲234ドル安、38,763ドル

【前回は】相場展望8月5日号 米国株: 米国経済失速、利下げ9月は経済支えで濃厚、SOXは調整入り 日本株: 日経平均「調整局面」、海外勢「売攻勢」、金利引上げ犠牲多い

●2.米国株 : 8月に入り軟調が気懸り、新リード役期待の中小型株は力不足

 1)米国株が8月に入っての軟調が気懸りな状況
  ・NYダウの推移
    7/31終値 40,842ドル
    8/07   38,763
     差引  ▲2,079ドル下落・下落率▲5.09%安

  ・最近は、朝高しても、終盤の弱さが目立つNYダウ
   ・8/6:朝+700ドル高を超える場面があったが、取引終盤に急速に縮小し、 終値は+294ドル高にとどまった。
   ・8/7:午前に+480ドル高も、下げに転じ終値は▲294ドル安。

 2)半導体株指数(SOX)が最高値から大幅下落し、底が見えない状況に陥る
  ・7/10高値5,904⇒8/7終値4,426と▲25.0%下落し、重度の調整局面に入る。

  ・7/31終値5,233⇒8/7終値4,426と▲807安・下落率▲15.4%と下落が深化。

  ・エヌビディアは時価総額が3兆ドルを超えたが、株価低下で2.5兆ドルに下がっている。

  ・半導体株指数(SOX)は、7/10高値からの下落率が大きい。チャートは2022年10/14を底に上昇してきたが、その上昇支持線をも下回った。このため、再加速には新規材料と時間を要すると見られる。

 3)米国株は半導体株が主導してきたが、新リード役期待の中小型株は力不足で脱落
  ・7月は中小型株指数のラッセル2000が好調だっが、8月に入って失速の展開。
    ラッセル2000:7/31終値2,256⇒8/7終値2,035と▲221安・下落率▲9.8%。

  ・米国株の再浮上には、半導体株の反騰や新リーダーの出現が待たれるが、現在は見えない。

  ・8月に入ってNYダウは▲2,079ドル安となっているが、底が見えない。再点火できる新規材料の表れが期待される。

●3.米国は、景気後退には陥っていない=シカゴ連銀総裁(ロイター)

●4.米国サービス業の景況感指数は51.4となり、節目の「50」を2カ月ぶりに上回る(NHK)

 1)6月は48.8と、2020年5月以来の低水準を付けていた。
 2)新規受注指数は52.4と、2022年12月以来の低水準だった前月の47.3から回復。
 3)雇用指数は51.1と、前月の46.1から上昇し、労働市場の悪化を示唆するものではない。
 4)米国経済を支えてきたサービス業の堅調さを示した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)8/5、上海総合▲44安、2,860
 2)8/6、上海総合+6高、2,867
 3)8/7、上海総合+2高、2,869

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)8/5、日経平均▲4,451円安、31,458円 
 2)8/6、日経平均+3,217円高、34,675円 
 3)8/7、日経平均+414円高、35,089円  

●2.日本株: 8月に入っての相場変動要因、海外短期筋が暗躍、米国金利引下げに備え

 1)日経平均は8月に入って大乱調
  ・8/5:日経平均の下げ▲4,451円安は、株式史上1位。 
     ・世界的に株価が暴落した1987年のブラックマンデーの翌日以来の下落。
  ・8/6:円安に転換、日経平均は+3,217円高と大反発、史上1位。
  ・8/7:33,430円で始まる、▲1,245円安、戻り待ちの売りをこなし終値は+414円高。

 2)円相場に振り回された日経平均
  ・円相場の推移 8/1    8/2   8/5   8/6   8/7  米国時間
         149.85円  149.17  142.52  145.95  146.83  146.76
   日経平均  ▲975円安 ▲2,216 ▲4,451 +3,217円高 +414
  ・8/1・2は米国株安を受け、日経平均に波及。
   8/5は円高が急伸し、米国NYダウ安を受け、日経平均はそれを材料に全面安。
   8/6は円安へと進行し、日経平均は反動高。
   8/7は円安一服が買い安心感を引き出す。

 3)8/5急落の要因:「売り」が「売り」を呼んで大幅下落
  ・海外短期筋が円高と米国安を材料に、株価指数先物を断続的に売り。
  ・株価急落で、信用取引をしていた投資家が追加担保の差し入れを求められ「追証」が発生し、
   ・投げ売り
   ・追加証拠金を支払えないための「強制売却」の売り
   が発生した。
  ・相場の流れに追随する海外短期筋のなかのCTA(商品投資顧問)などの売り。
  ・円高による輸出関連企業の業績懸念をした売り。
  ・浮動投資家が急落を見た、狼狽売り。

 4)日経平均の上昇も下落も「海外短期筋の先物売買」が主導
  ・8/1~7の株式相場は、海外短期筋の一人舞台。下げ相場も、上げ相場も、必ず海外短期筋が中心的に介在している。
  ・米国経済の失速懸念、円高などを理由に、先物で売り浴びせ日経平均は下落。
  ・米国経済の懸念払しょく材料で、先物で買い主導し、日経平均は上昇。

 5)恐怖指数(VI)は高水準にあり、日経平均は軟弱な状況にある
  ・恐怖指数の推移   8/1   8/2  8/5  8/6  8/7
            21.82  29.44  70.69 51.19 45.02
  ・恐怖指数は「20」を超えると危険圏に入ったと見られる。
  ・この指数の高さから、まだまだ株価はリスク回避の動きがあり得る。

 6)米国経済の指標を受け、9月利下げ観測が強い
  ・米国ではFRBの金利引下げ確率が高まっており、金利は▲0.5%から▲1.0%を見込んでいる。

 7)過去の経験では、利下げの初期には「米国株は下落」の確率が高い
  ・8/7現在の日経平均は、NYダウと比べ「割高感が消え」平常な位置に戻っている。
  ・今後は、米国株に平行した株価連動が続くと予想する。したがって、米国経済とFRBの政策金利の変動に留意したい。
  ・もちろん、円相場の行方にも注目したい。

●3.春闘、大手企業135社の賃上げ率は5.58%、賃上げ率5%超は33年ぶり(NHK)

●4.三菱重、4~6月期純利は前期比+17%増の622億円、航空・防衛が好調(テレ東)

 1)通期見通し利益は据え置いた。

●5.ソフトバンクG、4~6月期純損益▲1,742億円の赤字、3年連続(時事通信)

●6.スズキ、4~6月期営業利益1,575億円、円安や四輪車販売が改善、通期据え置き(ロイター)

●7.レーザーテック、2025年6月通期の営業利益は前年比+27.8%増の1,040億円(ロイター)

 1)市場予想1,112億円からは下回る。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・3865 北越         業績好調
 ・7564 ワークマン      業績堅調
 ・9603 エイチ・アイ・エス  業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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