ローランド Research Memo(1):2024年12月期第1四半期は在庫調整による反動減があったものの期初想定内

2024年7月26日 13:41

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記事提供元:フィスコ

*13:41JST ローランド Research Memo(1):2024年12月期第1四半期は在庫調整による反動減があったものの期初想定内
■要約

ローランド<7944>は、電子楽器メーカーとして幅広い製品・サービスを提供している。主な事業内容は電子楽器の製造販売であり、主な製品には鍵盤楽器・管打楽器・ギター関連機器・クリエーション関連機器&サービス・映像音響機器がある。

1. 2024年12月期第1四半期の業績概要
2024年12月期第1四半期の連結業績は、売上高は前年同期比3.4%減の22,083百万円、営業利益は同22.5%減の1,564百万円、経常利益は同39.8%減の1,122百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同30.4%減の980百万円となった。バランスシートの健全化を目的とする2023年12月期第4四半期の積極的なセルインに対して、ディーラー在庫調整による反動減が見られたが、おおむね想定内であった。ディーラー在庫の調整状況については、前期末から着実に改善が進んでいるものの、製品カテゴリー別では鍵盤楽器、域別別では日本などで供給過剰が需給バランスの崩れにつながり、調整が続いている。ディーラー販売状況に関して、北米市場は前期や前々期と比較すると若干弱い傾向が見られるものの、新製品の発売等でカバーする方針。また為替が計画比円安に推移していることから、上期及び通期業績予想に変更はない。販売戦略の正常化については、着実に進捗しているものの計画よりはスローとなっており、販管費の調整等でカバーを図っている。

2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比2.5%減の99,900百万円、営業利益で同4.0%減の11,400百万円、経常利益で同1.3%増の11,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.3%増の8,500百万円とする期初予想を据え置いた。セルイン及びセルスルーは、新製品投入効果とディーラー在庫の調整進捗に伴い徐々に回復しており、中期経営計画の施策を着実に実行することで売上高の確保を図る。売上総利益は2022年に子会社化したDrum Workshop, Inc.のPMI進展により継続的に改善しており、販売戦略の正常化も、計画比スローではあるものの進捗している。販管費は、需要動向や粗利改善状況を見極め慎重にコントロールしていく。足元のトレンドに大きな変化は見られず、新製品開発も順調に進捗していること、また為替も計画比円安で推移していることから、通期予想達成の蓋然性は高いと弊社では見ている。

3. 中期経営計画
同社は、2023年2月に中期経営計画(2023年12月期〜2025年12月期)を公表した。業績目標として、2025年12月期に売上高1,232億円、営業利益179億円、親会社株主に帰属する当期純利益134億円、ROIC20%以上を掲げている。Game Changerによる市場創造と潜在顧客へのアプローチによる「需要創造」、ポータブル・キーボード市場への再参入と新興国での販売拡大、Roland Retailによる「シェア拡大」、音楽を生涯楽しんでもらうための仕組みづくりによる「LTV向上」、長期ビジョン実現に向けた人的資源活性化とインフラ投資による「基盤強化」の4つを基本戦略としている。また、長期ビジョンとして、売上高2,000億円以上、営業利益率15〜20%を長期的な目標としている。なお同社は、コロナ需要の反動減や各国の経済状況の変化から、中期経営計画の数値目標達成時期は後ろ倒しになることを、2023年12月期決算発表時に表明している。

■Key Points
・2024年12月期第1四半期はディーラー在庫調整による反動減が見られたが、想定内
・2024年12月期は販売戦略の正常化が進捗。足元のトレンドに大きな変化は見られず、新製品開発も順調に進捗していること、為替も計画比円安で推移していることから、通期計画達成の蓋然性は高い
・中期経営計画(2023年12月期〜2025年12月期)では、2025年12月期に売上高1,232億円、営業利益179億円を目指すが、前提の変化により達成時期は後ろ倒し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)《SO》

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