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パリ五輪で期待される経済効果
●パリ五輪がいよいよ開幕
7月26日(現地時間)に、パリ五輪が開幕する。パリで夏季五輪行われるのは、1900年、1924年に続いて3回目となる。開会式はパリ中心部を流れるセーヌ川で行われ、初めてスタジアム外が舞台となる。
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地球温暖化や海洋プラスチックなど、環境問題に配慮した大会運営が目指されている。
ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエル・パレスチナ情勢といった、国際問題を抱えながらの開幕となる。フランス国内も財政問題に加えて、パリ五輪直前の選挙結果で左派が躍進するなど、混乱を抱え、暫定政権で迎えることになる。
テロ対策、セーヌ川の水質問題、猛暑の中での開催など、課題も多い。
パリ五輪・パラリンピック組織委員会が5月に発表した経済波及効果は、最大で111億ユーロ(約1兆8300億円)と言われている。
東京大会以来3年ぶりの大会は、8年ぶりの有観客大会となり、盛り上がりが期待されるが、実際の経済への影響や、終了後のレガシー効果など、経済効果はどうなるのだろうか?
●過去の大会との比較
五輪のために建設したインフラが及ぼす効果などを、レガシー効果という。
今回の経済効果は、リオ五輪(2016年)の1兆5000億円程度である。2008年の北京五輪では2002年からインフラ整備などで14兆円の経済効果があった。ただし、4兆円以上の開催費用も投じている。
2012年ロンドン五輪は、失業率の高い地域への開発も奏功し、ロンドン以外でも閉幕後に観光客による消費が増えた。2020年までで約14兆円の効果があったとみられている。
前回の東京五輪は、無観客の影響でチケット代9,000億円、飲食や宿泊などの観光需要が3,000億円など、合わせて1兆4,000憶円の経済効果が消失した。
●カギを握るレガシー効果
1998年の長野冬季五輪では、五輪のために作った施設などの維持管理が困難となり、負の遺産として課題となった。
東京五輪も今回のパリ五輪も既存の建物を使用し、最低限の修繕で経費を減らしている。選手村も、大会終了後には住居として活用される。
財政問題が懸念されているフランスだが、ロイター通信では、経費削減の成果もあってパリ五輪問題が財政に継続的な打撃を与える公算は小さいという、S&Pの見解を報じている。
チケット販売やテレビの放映権収入、観光客の増加などで、四半期ベースではGDPを0.3%押し上げるとみられている。五輪期間中に観光旅行を控える人もいるため、訪問者は相殺されるというのが過去の五輪でもあった。
今回の五輪は、インフレによる旅費の高騰と治安の悪化というマイナス要素もあり、訪問を見送るスポーツファンも多いとみられており、本当の経済効果は閉幕後数年間経過してから分かってくるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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