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タキロンCI Research Memo(2):高度な技術で多くのトップシェアを誇る総合樹脂加工メーカー
*15:02JST タキロンCI Research Memo(2):高度な技術で多くのトップシェアを誇る総合樹脂加工メーカー
■会社概要
1. 会社概要
タキロンシーアイ<4215>は、合成樹脂製の建築資材や農業・土木資材などを製造販売する大手総合樹脂加工メーカーである。4つの事業セグメント※を展開しており、建築資材事業セグメントでポリカーボネート樹脂板や防滑性ビニル床シートなど、環境資材事業セグメントでは農業用フィルムや土木工事向け遮水シートなど、高機能材事業セグメントでは半導体製造設備に利用される工業用プレートなど、機能フィルム事業セグメントではペットボトル飲料等のラベルに利用されるシュリンクフィルムなどを手掛けている。高度な樹脂加工技術を強みに、特殊な成形や厚み・強度など、用途に応じて幅広い分野の製品を製造することができ、国内トップシェアを誇る製品も多い。100年以上の社歴を持つタキロンとシーアイ化成が2017年に経営統合して設立された会社で、伊藤忠商事<8001>の連結子会社(2024年3月期末持分比率55.5%)となっている。
※後述する新中期経営計画のなかで2025年3月期より3事業セグメントに組織変更。
タキロンとシーアイ化成の経営統合によって誕生
2. 沿革
同社前身の1社であるタキロンは、1919年に創立された老舗である。セルロイド業界で確かな地位を築いたのち塩化ビニルの研究に着手、1955年に硬質塩化ビニル板「タキロンプレート」を発売した。それ以降、金属製が主流だった波板の塩化ビニル化をはじめ、プラスチックを使った斬新な発想で雨どいや排水ますなどを開発し、新たな価値を創造するメーカーとしての評判を確立し事業を拡大していった。この結果、1961年に大阪証券取引所(以下、大証)2部に上場、1972年に大証1部に指定替え、翌年には東京証券取引所一部上場を果たした。1980年に独自の表面技術により優れた静電気防除効果と透明性を兼ね備えた高機能材プレートの製造を開始し、液晶や半導体製造設備のクリーンルームパーティションに採用されるなど電子機器製造装置へと領域を拡大していった。1994年には防滑性床材でマンション改修市場へ本格的に参入、2000年には波板や平板がポリカーボネート製品へとシフトするトレンドを捉えて需要拡大を取り込んだ。
同社前身のもう1社であるシーアイ化成は、1971年にハマ化成(株)と神戸樹脂(株)が合併して誕生した会社である。設立時の主力事業は、塩ビパイプと農業用ビニルフィルムで、特に防霧特性のあるビニルフィルムは大変な人気となった(パイプ事業は2005年に撤退)。1980年には第3の柱となる家具・建材用フィルムに進出、その後、積極的に海外に進出することになる。1989年に北米のストレッチフィルムの需要増加を取り込むためBonset America Corporation(BAC)を設立、1995年にはモーター生産のため中国に進出した。2007年にイタリアにBONLEX EUROPE S.r.l(BLX)を設立して現地の家具メーカーに「ボンレックス」を販売、2012年にはシュリンクフィルム需要の取り込みを狙って南米ウルグアイにBonset Latin America S.A.(BLA)を設立した(BLAは2023年に撤退を発表)。
以上のようにタキロンとシーアイ化成は、重なる事業が少ないため事業領域拡大をはじめとする様々なシナジーが見込めること、両者ともに伊藤忠グループだったためもとより情報交換や人材交流を進めていたことから、2017年に経営統合をすることとなった。前中期経営計画で外部環境の想定外の悪化によってやや躓いたものの、2024年3月期の単年度経営計画で修正、2025年3月期には新たにスタートした中期経営計画で攻めに転じようとしているところである。
最適配置と増強投資を進め、収益力向上へ
3. 製造拠点
同社の製造拠点・研究所は国内27拠点、海外4拠点となっている。タキロンとシーアイ化成の事業の重複分野が少なかったため、統合後もほとんどの工場が生かされているが、新中期経営計画では生産体制の全体最適化を推進するとともに、設備投資目的を成長投資主体に大幅にシフトし、増産・増強と生産合理化を進めていく方針である。後に詳述するが、既にBLAの撤退を決めた一方、BACとBLXの増強投資や複数拠点の研究機能の統合などを進めている。日本などへ製品を送り出してきた中国の2工場も、中国国内向けを強化する方針である。最適配置と増強投資が進めば、企業全体の収益力も増していくことになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《HN》
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