相場展望7月15日号 米国株: 勢いのある米国株に売り、小型株に買いと「気迷い」症状 日本株: 7/11の大幅下落は、SQ算出日に絡んだ短期筋の売りが要因  急激な円高もマイナス

2024年7月15日 14:18

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)7/11、NYダウ+32ドル高、39,753ドル
 2)7/12、NYダウ+247ドル高、40,000ドル

【前回は】相場展望7月11日号 米国株: 仏で左派が第1党、トランプ勝利なら「インフレ再燃」⇒金利上昇 日本株: 短期筋海外投資家の買い転換で、半導体・コア30に集中投資

●2.米国株 : 勢いのある米国株に売り、出遅れの中小型株に買いと「気迷い」症状

 1)勢いのある米国株に、「気迷い」症状
  ・米国主要株価指数の推移
             7/11       7/12
    NYダウ     +0.008%高   +0.62%高
    ナスダック総合  ▲1.95%安   +0.63%高
    ナスダック100  ▲2.24%安   +0.59%高
    S&P500     ▲0.87%安   +0.55%高

  ・NYダウは7/12に40,000ドルと4万ドル台を回復した。

  ・半導体株は7/11に大崩れし、今後は慎重な見方が増える可能性がある。

 2)出遅れの中小型株銘柄に買いが向かった
  ・ラッセル2000株価指数の推移
     7/09   2,031
     7/12   2,150
     差異  +119、+5.86%上昇

  ・華やかな半導体株から、地味な中小型株に買いが向かうなど、投資先に変化。半導体株などハイテク株に高値意識が投資家の中で生まれてきた可能性がある。

●3.年内1~2回の利下げが適切、CPIで調整を正当化=サンフランシスコ連銀総裁(ロイター)

●4.米CPI、6月は前月比+3.0%で4年ぶり下落、利下げ観測高まる(ロイター)

 1)前月比でマイナス0.1%と予想外に下落した。前月比でマイナスになるのは2020年5月以来の4年ぶり。

●5.ペプシコ、四半期売上高が予想を下回る、スナックや飲料の売上鈍化で(ロイター)

●6.米デルタ航空、第3四半期利益見通しは予想下回る、大西洋便が不振(ロイター)


■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)7/11、上海総合+31高、2,970
 2)7/12、上海総合+0.9高、2,971

●2.中国の外資導入額、1~6月期は4989.1億人民元、前年同期比▲29.1%減(新華社)

 1)投資別業種では、製造業▲28.4%減、ハイテク製造業▲12.8%減。
 2)投資国別では、ドイツ+18.1%増、シンガポール+10.5%増。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)7/11、日経平均+392円高、42,224円 
 2)7/12、日経平均▲1,033円安、41,190円

●2.日本株:7/9の大幅下落は、SQ算出日に絡んだ短期筋の売りが要因 急激な円高も追い打ちをかけた


 1)株価の乱高下が始まる
  ・7/12に日経平均は▲1,033円反落したが、その要因。

   ・前日までの日経平均の急騰で、警戒感が高まっていた。

   ・短期筋の海外勢が、先物の特別清算日(SQ)である7/12朝一番を契機に、極端な売り方に転換した。

   ・日経平均に追い風となっていた円相場が7/11(米時間)に瞬間157円台へと+3円ほど円高になり、逆風が吹いた。

   ・SQ算出日に向かって、短期筋の海外勢にとって先物の利益拡大を狙って日経平均の上昇を演出していた。

   ・短期筋は6月4週から日経平均の株高を狙った動きを継続していた。

   ・今回のSQ算出額は、7/12朝一番の日経平均で決定する。

   ・先物の利益確定後の日経平均株価は、短期筋にとって済んだ話。

   ・7/12朝一番以降、今までの買い主体が利益確定売りに転換したのを契機に売りが売りを呼んで、今年最大となる▲1,033円安と大幅な下落幅となった。急激な株価指数の上昇後であっただけに、今までの買い筋が利益確定の売りに転換したため、買い手不在の中で売り一色となった。

 2)急上昇した円相場も、日経平均にマイナスに働く
  ・米FRBの利下げ観測と急速な円高/ドル安で一時157円台、為替介入の可能性も
  ・米6月のCPIが、+3.0%まで低下。
  ・CPI低下を受け、FRBは9月にも利下げとの見方が強まり、米金利が低下。
  ・日本政府・日銀による円買い/ドル売りの約3.5兆円の為替介入の可能性。
  ・円相場の推移
    7/11(日本時間) 161.73円
    7/12(日本時間) 159.02円
      円高差     +2.71円

 3)日経平均はNYダウからみると「割高」感が続く
  ・NYダウと日経平均の差(ドル、円をポイントとしてみる)
            7/11
     日経平均  42,224
     NYダウ   39,753  
      差異   +2,471
   7/11は、日経平均はNYダウに対して+2,471割高。

  ・翌7/12は日経平均は▲1,033円下落したが、まだ日経平均は割高。
            7/12
     日経平均  41,190
     NYダウ   40,000  
      差異   +1,190
   7/12に日経平均は▲1,033円下落・NYダウ+247ドル高したが、それでも日経平均は1,190割高。

  ・円相場も7/15に158.166円と、7/11比で+3.564円高が進展。輸出関連企業の業績にとって、円高は負。円安で株高となっていた部分がさらに剥離する可能性。

 4)日経平均は、今後も、割高感の解消が続く可能性がある
  ・要因は、
    ・米金利低下観測が当たると米半導体株の株高が頭を打った可能性。
    ・日経平均がNYダウと比べて、まだ割高感が残っている。
    ・6月4週から日経平均を牽引してきた短期筋の海外勢の利益確定売り継続。

 5)短期筋の海外勢による「柳の下の2匹目のどじょう」狙いは8月のSQで蘇るか
  ・柳の下の1匹目のどじょうの日経平均の推移
      6/17   38,102円
      7/11   42,224円
      差引   +4,122円上昇、+10.8%上昇
  ・日経平均は6/17を底に、短期間で大幅上昇をした。米国株の堅調と円安がフォローの風となって短期筋の海外投資家の強気が奏功した。短期筋の海外投資家は7/11に莫大な含み利益を手にする機会を得た。
  ・もっとも、日経平均の6/17底値からの上昇幅に対して、7/12の下げ幅▲1,033円は、4分の1の▲25%に過ぎない。つまり、まだ売られる余地がある。
  ・「2匹目のどじょう」狙いには、もう一段の下げが必要。あるいは、米国株の更なる上昇があり、日経平均を押し上げる要因が必要。円相場が円高⇒円安に大きく進展することも大事。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4480 メドレー    業績好調。
 ・4384 ラクスル    業績好調。 
 ・7259 アイシン    業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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