芙蓉リース Research Memo(4):2024年3月期の経常利益は7期連続で過去最高益を更新(2)

2024年7月12日 14:04

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記事提供元:フィスコ

*14:04JST 芙蓉リース Research Memo(4):2024年3月期の経常利益は7期連続で過去最高益を更新(2)
■芙蓉総合リース<8424>の決算動向

3. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の業績は、営業利益が前期比16.5%増の600億円、経常利益が同14.5%増の684億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同21.3%増の472億円と各段階利益で増益となり、過去最高益を更新した※。

※経常利益は7期連続、当期純利益は9期連続の更新となる。


事業本来の業績を示す「差引利益」(資金原価控除前売上総利益)は、引き続き「エネルギー環境」や「不動産」「航空機」といった成長ドライバーの伸びにより、前期比18.8%増の1,286億円と順調に拡大した。

経常利益についても、「差引利益」の伸びに加え、持分法投資利益※1の増加や退職給付費用の一時的な減少といった特殊要因が重なったことで前期比14.5%増と大幅に拡大した※2。事業分野別で見ると、「エネルギー環境」が外貨の金利上昇や事業領域拡大に伴うコストが先行したことにより一旦減益となったものの、「モビリティ」「BPO/ICT」「不動産」「航空機」がそれぞれ伸びており、成長領域を中心にバランスの取れた利益成長が続いていると言える。

※1 特殊要因として不動産事業に伴う利益が拡大した。
※2 特殊要因を除く経常利益(実力値ベース)では前期比7.9%増の644億円となっている。


費用面を見ると、海外アセットの積み上げに伴う外貨調達の拡大により調達利回りが上昇し「資金原価」が大きく増加したものの、その点は想定内である。また、Pacific Rim Capital, Inc.※の連結化を含むグループ拡大により「人物件費」が増加したが、退職給付費用の一時的な減少もあり、OHR(経費率:人物件費/売上総利益)は良好な水準を維持している。保有する債権の貸倒リスクも低く抑えられている。

※米国の独立系オペレーティング・リース会社(モビリティ領域)。


「契約実行高」についても前期比13.8%増の1兆7,428億円に大きく増加した。「エネルギー環境」でのエクイティ投資(再生可能エネルギー事業への参画)や不動産ファイナンス、航空機リースが大きく拡大した。特にリースについては、注力するオペレーティング・リースの実行高が大きく増加しており、収益性向上に寄与している。また、「営業資産残高」についても、「エネルギー環境」「不動産」「航空機」といった成長ドライバー領域を中心に着実に積み上げ、前期末比6.4%増の2兆8,774億円に増加した。

これらの結果、ROA※1については2.45%(前期は2.27%)※2と高水準で推移しており、収益性の高いポートフォリオへの転換や事業領域の拡大により収益力の底上げが定着してきたと言える。

※1 経常利益(年換算)÷営業資産残高(平残)。
※2 前述した特殊要因を除くROA(実力値ベース)で見ても2.31%に改善している。


財政状態については、総資産は前期末比7.6%増の3兆3,903億円に増加した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同17.7%増の4,317億円になったことから、自己資本比率は12.7%(前期末は11.6%)に向上した。また、有利子負債(リース債務を除く)は前期末比6.7%増の2兆6,826億円に増加※1したが、長期調達比率※2は68.4%(前期末は63.6%)を確保し、長短のバランスも安定している。

※1 営業資産の積み上げを背景に、社債(ハイブリッド債を含む)や長期借入金による調達を拡大した。また、サステナブルファイナンスの活用や国際協力銀行との融資契約締結など調達の多様化も推進している。なお、ESGファイナンスによる資金調達額は1,863億円(前期比540億円増)となり、長期調達実行額に占める割合は32%(同6ポイント増)に増加した。
※2 有利子負債に占める、長期有利子負債(社債+長期借入金+債権流動化に伴う長期支払債務)の比率。


4. 事業分野別の業績及び活動実績
(1) モビリティ(RT分野)
2024年3月期末の営業資産残高は1,940億円(前期末比227億円増)となり、ROAも3.5%(前期は3.4%)に改善し、経常利益は63億円(前期比6億円増)に増加した。新たに連結化したPacific Rim Capitalを含め、海外事業会社が順調に推移した。ただ、世界的な半導体不足を背景とする納期遅延は回復傾向にある一方、中古車マーケットの正常化は減益要因となっている。非財務目標である「EV/FCV保有比率」については、EV普及の遅れなどを背景に1.0%(前期は0.7%)の水準に留まった(中期経営計画目標値は30%)。活動面では、EV領域の多方面にわたるアライアンス先との協働※1や物流領域の拡充※2、グローバルベースのモビリティ事業推進※3などに取り組んだ。

※1 EV車両本体のみならず、充電器やメンテナンス網などワンストップサービスの提供に向けたビジネス基盤の拡大を図っている。商用EVの開発・製造・販売を手掛ける(株)EVモーターズ・ジャパン、及び新潟県や福島県を中心に教育事業などを展開するNSGグループとの連携により、EVメンテナンスに携わる自動車整備士の人材育成・輩出をサポートする取り組みを開始したほか、商用EVメーカーであるフォロフライ(株)とはEVの普及促進やEV関連のサービス拡充を目的とした資本業務提携を締結した。
※2 物流現場におけるDXに取り組む(株)PALとの資本業務提携などを通じて、物流ソリューション領域の拡大を推進した。
※3 日本、北米、タイを軸に、Pacific Rim Capitalとの連携やフォークリフトリースパッケージ「GREEN FORK」の構築などを通じて、物流機器の導入から再生・廃棄までをワンストップでサポートする、グローバルなライフサイクルマネジメント型のモビリティビジネスの拡大を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)《SO》

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