マテハン企業で世界代表格:ダイフクが打ち出した「野心的」中長期計画

2024年7月10日 16:35

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2023年11月に稼働を開始した滋賀事業所内の第二高層棟(画像: ダイフクの発表資料より)

2023年11月に稼働を開始した滋賀事業所内の第二高層棟(画像: ダイフクの発表資料より)[写真拡大]

 ダイフク(6383)に、四季報のパラパラ捲りでパタッと目がとまった。【計画】と記された材料欄に、「(20)30年に売上高1兆円、営業利益率12.5%目指す野心的計画発表」と記されていた。四季報とは長い付き合いだが「野心的計画」という表現には、出会った記憶はまずない。

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 とにかく、中長期計画を覗いて見た。確かに30年目標として、「売上高1兆円、営業利益率12.5%、ROE13.0%」が掲げられていた。かつ至27年12月期の中計として、「売上高8000億円(9カ月の変則決算で24年度から12月期決算へ移行。24年3月期比30.85%増収、営業利益率1.3%P上昇)」が記されていた。中長期にわたり「成長を続けますよ」という、強力なアピールである。

 ダイフクは物流システムを担う、いわゆるマテハン企業で世界トップ格。倉庫内の機械を使った「入荷・保管・出荷」を手掛けている。「野心的中長期計画」は、この間の収益動向からも頷ける。

 2021年3月期から24年3月期までの4期間は、「平均8 5%の増収、11 9%強の経常増益」。配当も「80円配90円配、110円配、実質120円配」と連続増配。そして9カ月決算の今12月期も「売上高5500億円(24年3月実績比90%)、経常利益535億円(83%)、実質111円配」計画。

 またダイフクの強みは単なるマテハンに止まらず、製造業・流通向けシステム・移動ラック・無人搬送機・立体自動倉庫やコンベア・ソーラーの製品開発に定評。業態に応じた半導体・液晶生産ライン向けシステム(クリーンルーム)や自動車生産ライン向けシステム(オートモーティブ)、空港向け手荷物搬送システム(エアポート)や洗車機関連商品(オートウォシュ)・電子機器(エレクトロニクス)などの製品開発などもグループ企業を含め取り組んでいる。

 本稿作成中の時価は3000円余り、予想税引き後配当利回り1%水準。前記の中長期計画と同時に「配当性向を3年平均30%超から、各年度35%超に変更」としている。

 海外分野は前期末で売上高1187億円近く、セグメント利益9億円近くに達している。中国・台湾・韓国・タイ・インドなどにマテリアルハンドリングシステムの生産拠点を配備し、北中米・アジア・欧州・オセアニアに子会社を幅広く配置している。海外事業の拡大は今後を占うポイント。

 こうした流れは外国人持ち株比率(前3月期末44 7%)にも反映されている。「野心的な中長期計画」も「配当性向35%超」も、外国人投資家を意識した動きと捉えることが出来る。

 過去9年半余の修正済み株価パフォーマンスは約6.7倍。じっくり構える投資スタンスが賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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