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新紙幣に期待される経済効果は?
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●新紙幣が7月3日からスタート
7月3日、新紙幣の発行がスタートした。新紙幣は2004年11月以来、約20年ぶりとなり、初日には1兆6000億円が出される。
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ロイター通信によると、日銀の植田総裁は「現金は誰でもいつでもどこでも安心して使える決済手段であり、今後とも大きな役割を果たしていく」と述べている。
キャッシュレス化が進み、今回が「最後のお札」とも言われている。新紙幣に果たしてどのような効果があるのだろうか?
●新紙幣の目的と肖像に選ばれた人物
新紙幣発行の目的の1つは、偽造防止である。新紙幣には世界初の3Dホログラムが搭載されている。
副次的効果として期待されるのが、タンス預金を減らすことと言われている。だが終戦直後のように、旧札が使えなくなるわけではない。
それでも2004年には1年間で6割が新札に置き換えられたことから、タンス預金を交換する人はいるだろうが、消費や物価への影響は考えづらい。
新紙幣の肖像は、5000円札が明治期に女性の高等教育に尽力した津田梅子氏、1000円札には「近代日本医学の父」とされる北里柴三郎氏。
40年ぶりの肖像変更となる1万円札は、明治維新で多くの企業の設立に携わった「近代資本主義の父」である渋沢栄一氏となった。
財務省のHPでは肖像に選ばれる理由は、偽造防止の観点からなるべく精密な写真が入手できることや、肖像彫刻の観点から品格のある紙幣にふさわしい肖像、国民各層に広く知られており、その業績が広く認められることと掲載されている。
●効果は?
偽造防止やタンス預金の減少と共に、キャッシュレス化への後押しも期待されている。
コンビニやスーパーなどのATMやセルフレジ、自動販売機などを保有する各施設は、新紙幣に対応した新機種の入れ替えやシステム改修が必要となる。それらのコストを踏まえた経済効果は約1兆6000億円と言われている。
新機種対応のコスト削減でキャッシュレス化への移行が期待する声もあるが、実際はどうなるかわからない。
日本の通貨流通量は名目GDP比で突出して多く、キャッシュレス割合も20%程度と、諸外国と比べて低い“現金大国”である。
新紙幣が、消費行動や株価に大きな影響を与えることにはならないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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