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アール・エス・シー Research Memo(1):2024年3月期はM&A効果や設備工事の上振れにより大幅な増収増益
*13:51JST アール・エス・シー Research Memo(1):2024年3月期はM&A効果や設備工事の上振れにより大幅な増収増益
■要約
1. 会社概要
アール・エス・シー<4664>は2021年に創業50周年を迎えた総合ビルメンテナンス企業であり、人材サービスも展開している。「信頼されるサービスを提供し、人が生活するあらゆる場面において、常に安全・安心・快適な環境を創造していきます」を経営理念に掲げ、「サンシャインシティ」や「丸の内ビルディング(以下、丸ビル)」など、日本を代表するビルの管理業務を手掛けている。創業来の主力である警備保障に加え、清掃、設備・受付、人材サービスなどを組み合わせた総合的なサービス提案に強みがあり、業績は堅調に推移している。今後は業界におけるDX化に向けて、機械化や新技術(セキュリティロボットやAI等)を積極的に活用し、持続的な成長を目指す方針である。
5ヶ年の中期経営計画については3年が経過したが、セコム<9735>との業務提携によるセキュリティロボットの導入、内装工事等を手掛ける友和商工(株)の子会社化、(株)アジラとの業務提携(AI警備システムの導入)など、経営基盤の強化や将来を見据えた取り組みで着々と実績を積み上げてきた。DX化の流れや再編の動きが加速するなかで、同社はまさに変革期を迎えている。
2. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比34.3%増の8,097百万円、営業利益が同48.5%増の284百万円と計画を上回る大幅な増収増益となった。新たにグループインした友和商工が、PMI(買収後の統合プロセス)の順調な進展により増収に大きく寄与した。また、同社単体についても、旺盛な店舗改装や設備リニューアル需要を取り込んだ設備工事の伸び等により堅調に推移した。特に計画を大きく上回ったのは、期初時点で読み切れない性質のスポット的な設備工事(主に友和商工)の上振れによるものである。利益面でも、増収による収益の押し上げや固定費吸収により大幅な営業増益を達成した。活動面では、東宝日比谷ブロムナードビルの警備業務開始や巡回清掃業務の拡大、「サンシャインシティプリンスホテル」でのAI警備システムを活用した警備業務の提案を行い、2024年4月に開始するなど大きな成果を残すことができた。
3. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績予想について同社は、売上高を前期比0.1%増の8,103百万円、営業利益を同46.5%減の152百万円と増収減益を見込んでいる。売上高は、前期の上振れ要因となったスポット的な設備工事(主に友和商工)の反動減に加え、官公庁大型長期案件の契約満了等が約10億円のマイナス要因となるものの、新たな大型イベント業務及びサンシャインシティプリンスホテル警備の新規受注等により打ち返し、増収を確保する想定である。一方、利益面で減益となるのは、成長投資として約1億円の人的投資を見込んでいることが理由である。人材不足が成長の足かせとなるなかで、来期以降の持続的成長を実現するところに狙いがあるようだ。
4. 今後の成長戦略
中期経営計画では、1) 収益力の向上(ソリューション提案、エリア管理体制の構築)、2) 技術力の強化(サービス品質の維持/向上、新技術の導入)、3) 職場環境の改善(従業員エンゲージメントの向上、女性の活躍推進)、4) 経営基盤の強化(持続的な成長の実現、環境への配慮)を基本戦略として、持続的な利益成長の基盤づくりに取り組んでいる。2026年3月期の数値目標として、売上高を7,500百万円、営業利益を300百万円、ROE10%を掲げている。また、サステナビリティ経営に向けた基本方針及びマテリアリティを公表し、今後はKGI・KPIを作成する予定としている。
■Key Points
・2024年3月期はM&A効果や好調な設備工事等の上振れにより大幅な増収増益
・「サンシャインシティプリンスホテル」にてAI警備システムを活用した警備業務を開始するなど、警備DXに向けて大きく前進
・2025年3月期は増収確保ながら、将来を見据えた人的投資により減益を見込む
・中期経営計画では、収益力の向上や新技術の強化などにより、持続的な利益成長の基盤づくりに取り組む方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)《SO》
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