いい生活 Research Memo(1):2025年3月期は約11%の売上成長の見込み

2024年7月2日 14:31

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記事提供元:フィスコ

*14:31JST いい生活 Research Memo(1):2025年3月期は約11%の売上成長の見込み
■要約

いい生活<3796>は、不動産会社に向けて賃貸管理や仲介サービスなどをカバーするクラウドベースのソフトウェア(SaaS)を提供している企業である。プラットフォームの主構造は、業務の効率化を促進する多くの機能を備えているサブスクリプション(月額課金型)サービスである。2025年3月期の業績予想では、同社は約11%の売上成長が見込まれている。2026年3月期にも10%超の成長が見込まれており、持続的な成長が期待されている。人的資源への投資も積極的で、給与水準の引き上げや開発チームの増員が行われ、新規プロダクトの投入が進められている。全体として、同社の業績は新規プロダクトの投入とSaaSシフトの進展により、将来的にさらなる収益増が期待される。

1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の業績は、売上高が前期比4.1%増の2,808百万円、EBITDAが同3.5%減の658百万円、営業利益が同24.9%減の176百万円、経常利益が同11.6%減の208百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.6%減の146百万円となった。2024年3月期の売上高は、エンタープライズ企業への新規導入と既存顧客へのアップセル・クロスセルにより、SaaSの月額利用料収入が前年比7.6%増の堅調な成長を示した。一方で、大規模な不動産賃貸管理プロジェクトへの注力に伴い案件の大型化と納期の後ろ倒しが発生し、一部売上の計上が次年度に持ち越されたため、ソリューション売上は減収となった。また、IaaSの利用料増加や新卒採用拡大などの投資が売上原価を押し上げ、利益は減少したものの、基盤の強さはEBITDAの安定的な創出からも示されている。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の期初予想は、売上高で前期比11.1%増の3,119百万円、営業利益で同43.2%減の100百万円、経常利益は同52.4%減の99百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同54.1%減の67百万円とした。2025年3月期には、2024年からの大型プロジェクト完了と新規稼働開始により売上成長が見込まれ、特にエンタープライズ市場のSaaSシフトが加速している。新規および既存顧客へのアップセル・クロスセルにより、売上増が予想され、2026年にも10%超の成長が期待されている。同社は人的資本への投資も強化しており、新プロダクトの開発と導入支援体制を充実させている。これらの取り組みにより、持続可能な成長が見込まれる。

3. 中長期の成長戦略の概要
同社は中期的な目標として、年間売上高60億円以上を見込み、顧客法人数5,000社、平均顧客単価月額10万円以上を目指している。この目標達成に向けて、「顧客基盤の拡大」「収益力の強化」そして「将来への布石」としての3つの戦略を推進している。「顧客基盤の拡大」では、導入支援サービスの拡大と業者間流通サイト(「いい生活Square」)の拡大を通じて新規顧客獲得と既存顧客のリテンションを図る。「収益力の強化」では、マルチプロダクトのワンストップ提供とサービスレベルの向上で顧客生涯価値(LTV)の拡大を目指す。「将来への布石」としては、不動産プラットフォームの進化と高付加価値サービスの提供で競争力を確立していく。これらの戦略により、持続可能な成長と利益の最大化を目指している。

■Key Points
・2024年3月期は増収。SaaSの月額利用料収入が前年比7.6%増も、大型プロジェクトの後ろ倒しなどによりソリューション売上が減収
・2025年3月期はエンタープライズ市場のSaaSシフト加速、新規および既存顧客へのアップセル・クロスセルなどにより増収見込み
・中長期な数値目標を顧客法人数5,000社、平均顧客単価月額10万円以上、年間売上高60億円以上としている

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)《SI》

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