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日本株を悩ます三重苦
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●なかなか届かない日経平均4万円台
日経平均株価は、2024年2月22日に1989年以来の史上最高値となる3万8915円を記録し、3月には4万円台を突破したが、4月以降なかなか4万円台には届かない。
【こちらも】再び1ドル=160円台へ!? 背景には家計の円売りも?
エヌビディアの好調さに乗り、ハイテク株を中心に上昇する場面もあったが、一時の勢いがなくなっている。
新NISAによる特需、歴史的な円安もあった2024年前半の日本株だが、上値が重くなっている。その背景には、日銀の利上げ、外国勢の日本売り、信用買い残が挙げられる。
これらのリスクを回避し、再び4万円台に乗せることができるだろうか?
●信用買い残とは?急落のリスクに
ブルームバーグの報道によると、6月21日時点で信用買い残は4.9兆円となっており、18年ぶりの高水準となっている。
信用買い残とは、信用取引で信用買いされてまだ決済されていない株数のことだ。信用取引は6カ月以内に決済しなければならず、信用買い残の多さは、将来の売り要因とされる。
信用買い残が多いと、株価が上昇局面では売り圧力となり、下落局面では投げ売りされるリスクがある。
●リーマンショックと似た状況
信用買い残が高水準だった18年前の2006年は、日本株も米国株に吊られ好調だった。2006年7月に日銀がマイナス金利の解除、2007年2月には追加利上げに踏み切った。
その後、2007年にサブプライムローン問題、2008年にはリーマンショックが起き、ゼロ金利に逆戻りした。その時と状況が似ている。
早ければ7月にも日銀の追加利上げがあるとみられているが、投資家からは嫌気されている。1ドル=160円の円安を解消するためには、利上げは避けられないとみられる。
新NISAによる国内個人投資家の参加もあって上昇していた日本株だが、ここにきて6月中旬まで5週連続で外国人投資家が売り越している。
日本株への期待から信用買いが膨らんだが、利上げへの警戒からここにきて外国人投資家が売り越しているという、“三重苦”となっている。
リーマンショックのようなことがないとは言い切れないが、米国景気が好調を維持していること、日本株も新NISAの下支え、円安の恩恵を受けている企業もあることなど、リーマンショック級の暴落が起こるとまでは考えづらい。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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