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「豚の上で暮らす」? 贅沢な暮らしを象徴する英語のことわざ
前回まで、馬やロバ、ラバを使ったことわざ・成句を紹介してきたが、今回も家畜を使ったイディオムを取り上げたい。その家畜とは「豚」だ。
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豚は食文化だけでなく、言語においても重要な役割を果たしている。そこで、豚に関する成句を取り上げるとともに、英語には「豚」の呼び方にもたくさんの種類があることも確認しておこう。
■High on the Hog
「high on the hog」とは、「贅沢な」を意味するイディオムだ。おもにアメリカで、「living high on the hog(贅沢に暮らす)」のように使う。特に食事や生活が贅沢で、そこからしばしば経済的な余裕がある状態を示す際にも用いられる成句である。
まず、「hog」とは何かを確認しておこう。「hog」とは、簡単に言えば成長した豚のことだ。我々はつい「豚=pig」と思いがちだが、英語で豚を意味する言葉はたくさんある。
生まれたばかりの子豚を意味する「piglet」、それより少し成長した「shoat(shote)」、成長した雄豚を指す「boar」と成長した雌豚を指す「sow」、さらには、豚の種全体を指す「swine」という言葉もある。
「hog」も豚を指す言葉の1つで、成長した豚、特に食肉用として飼育された大きな豚を指すことが多い。
ではなぜ、「high on the hog」で贅沢という意味になるだろうか。これを直訳すると「豚の上で」となるが、背中や肩など豚の上部に位置する肉が特に品質が高く、価格も高価であることに関係している。
アメリカの食文化では、ベーコンやポークチョップなど、豚の上部から取れる肉が高級食材とされてきた。つまり、高級食材を食べることができる人は裕福であり、贅沢な暮らしをしているという暗喩である。
ちなみに、この表現が広まったのは20世紀初頭だが、実際には17世紀から「living high」で「浪費的な生活を送る」という意味はあった。
なぜ20世紀になって「on the hog」が加わったのかと言うと、おそらくその時期にアメリカの経済や社会が大きく変化し、多くの人が豊かな生活を志向するようになったためと考えられる。また食肉産業が拡大し、豚肉の消費が増えた時期ということも一因だろう。
・After winning the lottery, he started living high on the hog, buying luxury cars and expensive watches.
(宝くじに当たった後、彼は高級車や高価腕時計を買い集めるなど、豪華な生活を送り始めた。)
・They promised that the new policies would allow everyone to live high on the hog.
(新しい政策により、誰もが豊かな生活を送れるようになると彼らは約束した。)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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