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ユビAI Research Memo(9):M&A、資本提携により事業領域の拡大と成長を実現
*14:39JST ユビAI Research Memo(9):M&A、資本提携により事業領域の拡大と成長を実現
■中長期の成長戦略
1. 中期経営計画の概要
ユビキタスAI<3858>はポストコロナを見据えて次の10年で「Big Change」を実現するため、2022年6月に新たなビジョン及び3ヶ年(2023年3月期〜2025年3月期)の中期経営計画を公表した。新たなビジョンは、以下のようなPhilosophy(基本理念)、Purpose(存在意義)、Mission(成し遂げたいこと)、Principles(大切にする価値観)で構成され、スローガンを「Exploring Everything」と定めた。革新的なアイデア、未来を照らす技術シーズ、自社・他社の有形無形の製品、それらを生み出すタレントなどがすべて宝物であり、収益の源泉と認識し、まだ見ぬ宝物を探し続けることで社会の進歩に貢献しようと訴えている。
Philosophy(基本理念)
「All for wonderful life」(この場、この時が、素晴らしい人生へとつながるように)
Purpose(存在意義)
「Invisible Tech, Visible Change」(先進かつ優れたテクノロジーで、社会を進化させる)
Mission(成し遂げたいこと)
「Software, Everywhere」(最適なソフトウェアテクノロジーを、あらゆるところに)
Principles(大切にする価値観)
「Grow together」(自社だけでなく、かかわるすべての人たちの利益を考えて行動する)
「Curious about technology」(広い視野で世界を見つめ、テクノロジーへの好奇心をもちつづける)
「Embrace challenge」(自分なりでいい。挑戦を楽しみ、挑戦に拍手をおくる)
「Be professional」(専門性をもった者同士が互いを尊重し、助けあい、高めあう)
「With integrity」(人にはもちろん、仕事や技術に対しても誠実に向きあう)
数値目標としては、2027年3月期に売上高5,000百万円を達成するために、2025年3月期に売上高3,000百万円、営業利益100百万円を実現する目標を掲げた。2023年3月期の実績は売上高1,938百万円、営業損失84百万円と目標の売上高2,152百万円、営業利益5百万円を下回った。2024年3月期の実績はM&Aの実現により当初目標値を上回り、2025年3月期の数値目標を売上高4,022百万円、営業利益40百万円(のれん償却前利益133百万円)に上方修正した。
中期経営計画では、M&A、資本提携の積極的な推進により事業領域の拡大と成長を目指す。組込みソフトウェア開発・販売会社から顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供する会社として、事業領域の拡大、事業機会の創出を進めている。事業機会の創出においては、B2Bビジネスプラットフォーム「HEXAGON」の実現、QuickBootの海外展開、成長分野で安定的な収益が見込めるツール製品への注力している。また、社員が働きやすい環境の整備・人材育成の強化も進めている。
2. 中期経営計画の進捗状況
事業領域の拡大については、2023年4月のライトストーン、2023年10月のグレープシステムのM&Aにより教育・研究機関を対象にしたデータアナリティクス事業、バーコードのソフトウェア製品の開発など、新たな事業領域への参入により新たな顧客基盤、新たな開発力を獲得するなど着実に実績を積み上げている。海外展開については、海外で利用が進んでいる新しい半導体とOSを組み合わせたプラットフォームに対応した高速起動ソフトウェアなどの開発が必要であり、この課題には継続して取り組んでいる。人材採用・育成面においては、同社は定期的な新人採用は行わず積極的な中途採用やM&Aにより人材を確保しているが、現状はエンジニアが不足していると認識している。外部採用が厳しい環境下、グループ内での人材交流、人材活用はますます重要になるであろう。同社では人材育成プログラムの導入により、マネージャークラスの育成に注力している。意識改革が進み、チームワークの向上などの成果も現れているようであるが、社内外、事業部門を超えて開発チームなどを編成できる職場、組織作りをどのように実現していくかが課題となろう。
2022年6月に立ち上げた製造業向けB2Bビジネスプラットフォーム「HEXAGON」の運営、2023年11月に北九州市と連携し、研究開発・ビジネス拠点「北九州ビジネスイノベーションセンター」を開設するなど新たな事業機会の創出に向けた積極的な取り組みも進んでいる。「HEXAGON」の賛同企業・団体は2023年5月の46から直近で82まで拡大した。2025年3月期中にはスタートアップ企業との協業による開発受託やソリューション提案の受注などの収益化が実現する見通しだ。北九州では、ルネサスエレクトロニクスと、スタートアップ企業や教育機関などに半導体ボードとソフトウェアを無料提供し、製品開発が成功した際に費用支払いをしてもらうプログラムをスタートさせている。引き続きM&A、資本提携などに積極的に取り組んでおり、2027年3月期の数値目標達成の蓋然性は一段と高まっていると評価したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)《HN》
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