関連記事
兵機海運 Research Memo(12):モーダルシフト時代を見据えた取り組み等を推進
*15:32JST 兵機海運 Research Memo(12):モーダルシフト時代を見据えた取り組み等を推進
■ESG/SDGsの取り組み
兵機海運<9362>は持続可能な社会の構築と企業価値の向上の両立を目指している。主力の内航海運は、国内における大量・長距離輸送の重要な担い手である。同社によると、国内貨物輸送の約40%は内航海運であり、特に石油製品、鉄鋼、セメント等の産業に不可欠な物資については、80%以上が海上輸送となっている。また、1トンの貨物を1km(1トンキロ)輸送する際のエネルギー消費量は、トラックに比べて5分の1程度となる。このことから、内航海運はエネルギー効率の良い、環境にやさしい輸送機関である。同社は環境負荷が軽いモーダルシフト※を見据え、取扱貨物の複線化等に取り組んでいる。
※トラック等の営業貨物車による貨物輸送を環境負荷が軽い鉄道や船舶の利用へと転換すること。
内航船を新造する場合は、環境負荷低減に貢献できる設備投資を優先するとともに、CO2低減化基準に沿った建造を進めている。なお、国際海事機関(IMO)※により、国内外を問わず全船舶を対象に強化されたSOx規制(船舶燃料油に含まれる硫黄分の濃度規制)に対しては、環境負荷の少ない適合新燃料等へ切り替えて対応している。
※International Maritime Organizationの略。海上の安全、船舶からの海洋汚染防止等、海事分野の諸問題についての政府間の協力を推進するために1958年に設立された国際連合の専門機関。
船舶バラスト水※の規制管理条約への対応としては、紫外線を利用した排水処理装置を設置し、運用している。また、CO2排出の低減への取り組みや、交通エコロジー・モビリティ財団によるエコ通勤の認定も継続している。
※大型船舶が航行時のバランスをとるために船内に貯留する海水のこと。到着港で放出される際、バラスト水中に含まれる様々な海洋生物(動植物プランクトンや海藻の断片等)も一緒に放出されることになる。放出された海洋生物が定着するようになると、「外来種」として生態系をかく乱する等の悪影響を及ぼすことがあり、世界各地で問題となっている。この問題に対して、2017年にIMOの「バラスト水管理条約」が発効した。この国際条約に基づき、世界ではバラスト水の管理が進んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)《SI》
スポンサードリンク