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NCD Research Memo(12):株主還元は連結配当性向30%以上を目安
*13:12JST NCD Research Memo(12):株主還元は連結配当性向30%以上を目安
■成長戦略
3. 株主還元策
NCD<4783>は利益配分について、中期経営計画「Vision2026」のスタートに伴って2024年3月期より、連結配当性向の目安を30%以上に設定した。この基本方針に基づいて、2024年3月期の1株当たり配当は前期比30.00円増配の50.00円(第2四半期末16.00円、期末34.00円)とした。配当性向は29.3%となる。そして2025年3月期の配当予想は前期比4.00円増配の54.00円(第2四半期末27.00円、期末27.00円)としている。予想配当性向は30.5%となる。また株主還元の一環として株主優待制度も実施している。毎年9月30日現在の1,000株(10単元)以上保有株主を対象として、保有株式数及び継続保有期間に応じて優待品(クオカード)を贈呈している。今後も業績の拡大に伴ってさらなる株主還元の充実が期待できるだろうと弊社では考えている。
サステナビリティ経営を推進
4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については、2021年10月にサステナビリティ推進委員会を設置し、中期経営計画「Vision2026」においてもサステナビリティ経営を強化する方針を打ち出している。マテリアリティとしては「カーボンニュートラル実現への貢献」「安心・安全で豊かな社会づくり」「多様な人材が活躍できる社会へ」「社会からの信頼を」を掲げている。2023年8月にはサステナブル調達ガイドラインを制定した。
「カーボンニュートラル実現への貢献」ではDXの推進、高付加価値な駐輪サービスの提供、「安心・安全で豊かな社会づくり」ではレジリエントな社会インフラの提供、地方創生への貢献、「多様な人材が活躍できる社会へ」では人権の尊重とD&Iの推進、働きやすさと働きがいの両立、次世代リーダーの育成、「社会からの信頼を」ではガバナンス体制の高度化、コンプライアンスの推進、適切なリスクマネジメントを目指す。なお地方拠点活用による就労機会の創出では、福岡・長崎オフィスなどビジネスパートナーを含めた地方拠点合計人員数を2024年3月末の322名から、2026年3月末に400名へ増加させる計画としている。
パーキングシステム事業は放置自転車解消対策、交通混雑緩和対策、土地有効活用、地域・街づくり、CO2排出量の削減による地球環境改善などに貢献するビジネスである。自転車活用推進法(自転車の活用を総合的・計画的に推進することを目的として2017年5月施行)に基づいて、各地で自転車活用推進計画も進行している。2022年4月にはプロロードレースチーム「さいたまディレーブ」と、2023年4月には「VC FUKUOKA」とオフィシャルサプライヤー契約を締結した。地域・社会への貢献も目的としている。
人材戦略としては、基本コンセプトに「自律的なキャリア形成と対話を通じた組織風土の変革」を掲げ、健康経営、明るい職場づくり、働き方改革、キャリア支援、社内ベンチャー、D&I、エンゲージメント向上などを推進している。2021年4月にはグループ統一の新人事制度を導入し、2021年9月には健康企業宣言東京推進協議会が運営する健康優良企業認定制度「健康企業宣言」において健康優良企業「金の認定」を取得した。2024年3月には経済産業省が定める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定された。また、女性の常勤取締役/執行役員数の目標は現状1名を、2031年3月期2名以上としている。一般的に女性取締役は社外取締役として迎えることが多いが、同社は常勤取締役/執行役員として女性の社内登用を進める方針としている。さらに、2021年6月改訂のコーポレートガバナンス・コードへの対応を推進し、取締役のスキル・マトリックスの開示や議決権電子行使プラットフォームへの参加なども行っている。
2024年3月期の収益性大幅向上を評価、中期経営計画の進捗に注目
5. アナリストの視点
同社の業績推移を見ると、パーキングシステム事業がコロナ禍の影響を受けた2021年3月期をボトムとして2022年3月期以降は回復基調となった。さらに2024年3月期は収益性が大幅に向上して過去最高業績となり、中期経営計画の目標数値も上方修正した。これは単に事業環境が好転しただけでなく、同社が従来から着実に推進してきた収益性向上施策(IT関連事業における業務領域拡大、ストック売上拡大、NCDサービスモデルの進化、パーキングシステム事業におけるBPRなど)の成果が本格的に表れ始めたことによるものと弊社では高く評価している。また株主還元策を強化していることも評価している。さらに今後も利益率向上に向けた変革を加速させることで、中長期的に一段の利益成長が期待できると弊社では評価しており、引き続き中期経営計画や長期グループビジョンに基づく収益性向上戦略の進捗に注目したいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《SI》
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