関連記事
加藤製作所 Research Memo(12):サステナビリティ経営推進
*16:12JST 加藤製作所 Research Memo(12):サステナビリティ経営推進
■成長戦略
3. サステナビリティ経営
加藤製作所<6390>は経営理念に「優秀な製品による社会への貢献」を掲げ、サステナビリティ経営の推進にも取り組んでいる。事業面では、安心・安全性の向上と燃費効率向上を両立させる新製品の開発に取り組み、2023年3月に世界初の「ハイブリッドラフター(ラフテレーンクレーン)」製品化計画を発表した。走行燃費及びクレーン作業燃費の向上によってCO2排出量を削減するとともに、走行騒音及び作業騒音を低減する。中期経営計画で掲げているSDGs、環境配慮型機種の第1弾として、本製品の製造・販売により環境保全の一翼を担うことを目指す。
また2023年2月にはサステナビリティ委員会を設置、2023年5月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、同社ホームページにESGに関する活動状況やデータなどを紹介する「サステナビリティサイト」を開設した。2023年7月には、本社の所在地である東京都品川区が地域企業と協働し、子どもたちへのキャリア教育支援や地域貢献などによってまちづくりを推進する「しながわCSR推進協議会」の発足理念に賛同し、入会した。
業績の急回復を評価、次期中期経営計画に注目
4. アナリストの視点
同社は現在の中期経営計画の期間(2023年3月期~2025年3月期)を、徹底した収益性改善施策の推進によって利益を回復する期間と位置付けて、売上高よりも利益を優先した販売戦略を推進している。そして2023年3月期に営業黒字転換、2024年3月期に大幅営業増益を達成し、2025年3月期も大幅営業増益予想としている。主要部品の供給制約や中国市場の事業環境悪化など、同社にとって事業環境は決して順調ではなかった状況でも、収益性重視戦略によって売上原価率を着実に改善し、業績が急回復した点を弊社では高く評価している。今後は、新製品によって主要部品供給制約が解消されるとともに拡販が加速すること、事業環境の厳しい中国事業の見直しとインドを中心とする新たなグローバル展開を開始する見込みであること、収益性重視戦略によってさらなる利益率改善が期待されること、株主還元を強化する方針であることなどが注目点となり、次期中期経営計画に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《AS》
スポンサードリンク