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EG Research Memo(5):チェンジホールディングスとの連携で新BPO・セキュリティの受託体制整う
*13:35JST EG Research Memo(5):チェンジホールディングスとの連携で新BPO・セキュリティの受託体制整う
■イー・ガーディアン<6050>の成長戦略
1. チェンジホールディングスとの連携による新BPO・セキュリティサービスがリリース
国内BPOの市場規模は安定的に成長傾向が続いている。市場成長の背景には、働き方改革の進展や人材不足が深刻化するなか、コア業務への注力やコスト削減が求められていることがある。同社はこれまで、エンターテインメント業界を主な対象にBPO業務を行ってきたが、チェンジホールディングスとの業務提携以降は、エンタープライズ(企業)向けのBPO・セキュリティに事業領域を拡大する戦略である。2024年4月には、SaaSスタートアップ企業向けの「事業グロース支援パッケージ」、デジタル(データ)を活用した新規事業に取り組む企業向けの「新規事業開発のためのデジタル/BPO活用プログラム」、DXを進める企業向けに実践的なセキュリティ対策の知識・技能を習得させる「セキュリティ人材育成 Security for DX プログラム」を提供開始した。また、自治体及び自治体関連団体向けには「地方自治体向けWebセキュリティ対策パック」「ふるさと納税ポータル運用業務BPOサービス」がリリースされ、サービス提供の体制が整った。業務内容自体は、これまでエンターテインメント業界向けに培ってきた人材やITツール等による効率化ノウハウなどが活用できると考えられる。短期的には、チェンジホールディングスがグループ外に委託していた業務の受託を増やしつつ、中期的には共同での営業開拓により新規案件の獲得を目指す。
2. サイバーセキュリティ市場の動向、規制状況
国内のサイバー攻撃は年々増加傾向にある。その深刻さを反映する指標である年間総観測パケット数(ダークネットの範囲に届いたパケットの個数、1IP当たり)では、2023年は5年前(2018年)の約2.8倍となった。独立行政法人情報処理推進機構が公開している「情報セキュリティ10大脅威 2024」では、組織向けの脅威の1位にランサムウェア(ウイルス)による被害、2位にサプライチェーンの弱点を悪用した攻撃、を挙げている。2023年に発生した事例でも、業務委託先や取引先、ソフトウェア開発元など周辺企業が狙われるケースが報告されている。個人向けの脅威では、攻撃者がショッピングサイト等、インターネット上のサービスの脆弱性等を悪用し、個人情報を窃取し、クレジットカードを不正利用されたり、詐欺メールを送信されたりするケースが多く見られる。すべての業界の企業や団体、国、自治体が標的になる可能性があり、セキュリティ強化に向けた動きは加速している。一例を挙げると、経済産業省では「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を公開し、2024年度末を目途にECサイトを運営する事業者に対して「脆弱性診断の実施」「本人認証の導入」の義務化を予定している。厚生労働省では、ランサムウェアの被害のリスクなどを想定し、医療機関で発生したことにも関連して、2023年4月に医療法施行規則改正を行い、医療機関がサイバーセキュリティ確保のための措置を講じることを義務化した。脆弱性診断からコンサルティング、ソリューション提供、セキュリティ研修・教育までをワンストップで行うことができる同社の役割は重要度を増している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《AS》
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