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藤商事 Research Memo(1):アニメジャンルの新機種が好調、2025年3月期も業績は堅調見通し
*15:21JST 藤商事 Research Memo(1):アニメジャンルの新機種が好調、2025年3月期も業績は堅調見通し
■要約
藤商事<6257>は、パチンコ・パチスロ遊技機の中堅メーカーで、新規性のある演出の企画開発力に定評がある。ジャンルとしては、若年層向けに「アニメ」「萌え」のほか、「ホラー」、シニア層向けに「時代劇」のIPを活用した機種開発に注力している。無借金経営で手元キャッシュは200億円超と潤沢にあり、財務の健全性は高い。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.1%増の36,983百万円、営業利益が同25.9%増の4,880百万円と4期連続の増収、2期連続の増益となった。パチンコ遊技機の販売台数は同8.9%減の61.0千台と減少したものの、パチスロ遊技機が同28.1%増の29.2千台と伸長したことが増収要因となった。いずれも販売シェアは若干上昇したものと見られる。販売価格の上昇と原価管理を徹底した効果により、営業利益率は前期の11.1%から13.2%に上昇した。特に、パチスロ遊技機についてはスマートパチスロの「Lゴブリンスレイヤー」、「L とある魔術の禁書目録」がいずれも高稼働となり、ホールからの評価も高まった。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の業績は売上高が前期比横ばい水準の37,000百万円、営業利益が同2.4%増の5,000百万円となる見通しである。販売台数はパチンコ遊技機で同18.0%増の72.0千台、パチスロ遊技機で同38.4%減の18.0千台を計画しており、販売価格は前期並みの水準を想定している。スマート遊技機の開発やパチスロ遊技機の開発ライン数強化に伴い研究開発費が前期比1,127百万円増加の8,700百万円となるものの、材料コスト低減による原価率の改善で吸収する。パチンコ遊技機は、2024年3月より解禁になった「ラッキートリガー※」搭載機を中心にメイン機種で4タイトル程度投入し、パチスロ遊技機では、第2四半期以降に2タイトル投入する予定だ。パチンコ遊技機では6月から新規IPである「魔王学院の不適合者〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜」をモチーフとした「P魔王学院の不適合者」が導入され、その反響が注目される。
※「ラッキートリガー」とは、従来内規で出玉総量6,400個(初回出玉を除く)を上限としていたものを、特定の条件を満たすことで9,600個(初回出玉を除く)まで高められるようにしたもので2024年3月期に解禁となった。出玉規制の緩和だけでなくゲーム性の幅も広がり多様な機種の開発が可能となっている。
3. 成長戦略
同社では「とある魔術の禁書目録」「とある科学の超電磁砲」のように若者世代に人気のあるコンテンツの版権を積極的に取得し、人気機種に育て上げており、ここ1〜2年の堅調な業績につながっている。今後も顧客に支持される機種の開発に取り組み、市場シェアを拡大することで収益成長を目指す方針だ。パチンコ遊技機では現在7%前後のシェアを10%以上に、パチスロ遊技機では4%弱のシェアを5%以上に引き上げることを当面の目標としている。特に、パチスロ遊技機では年間2タイトルの投入ペースを2026年3月期以降は3タイトル以上に増やしていく意向であり、一段の収益拡大が期待される。
4. 株主還元策について
同社は配当方針として1株当たり50.0円を下限とし、業績連動部分として連結配当性向30%以上を目標としている。これにより2025年3月期の1株当たり配当金は、前期と同額の55.0円(配当性向31.1%)を予定している。また、2023年3月に発行した行使価額修正条項付第1回新株予約権の取得及び消却と、自己株式150万株の消却を2024年5月に実施した。
■Key Points
・2024年3月期はパチスロ遊技機の伸長と原価率改善効果により、営業利益、経常利益で2期連続増益を達成
・ラッキートリガー搭載機の導入及び内規変更により、パチンコ遊技機の需要が活性化する可能性
・2025年3月期はパチンコ遊技機の拡大により研究開発費増を吸収し、前期並みの収益水準を計画
・1株当たり配当金は50.0円をベースに連結配当性向30%以上とする方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SO》
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