パパネッツ Research Memo(5):2024年2月期の業績は順調に拡大し、増収増益(2)

2024年6月18日 15:05

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記事提供元:フィスコ

*15:05JST パパネッツ Research Memo(5):2024年2月期の業績は順調に拡大し、増収増益(2)
■パパネッツ<9388>の業績動向

2. 財務状況
2024年2月期末の財務状況は次のとおりである。流動資産は前期末比51百万円減少の1,544百万円となった。要因としては、現金及び預金が99百万円減少し、売掛金が17百万円増加したことなどによる。固定資産は同89百万円増加の585百万円で、資産合計は同37百万円増加の2,129百万円となった。流動負債は同64百万円増加の669百万円、固定負債は同124百万円減少の412百万円となった。流動負債は、未払費用の増加37百万円及び未払法人税等の増加20百万円が主な変動要因である。固定負債は、長期借入金が151百万円減少したことによる。純資産は同97百万円増加の1,048百万円となった。

同社は安定した財務基盤を維持しつつ、無形固定資産とその他の投資を通じて将来的な成長に向けて投資している。長期借入金の減少により財務の健全性をさらに強化している一方で、流動資産内の現金及び預金の減少は、今後の運転資金の流動性に注意を払う必要がある。純資産の増加は同社の内部留保の増強を示しており、全体的に見て同社は健全な成長を続けていると評価できる。

2024年1月に同社は、主要株主である(株)花明より、自己株式107百万円を取得した。なお、自己株式取得の結果にかかわらず、主要株主の異動はない。

(1) キャッシュ・フロー
2024年2月期のキャッシュ・フローを見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは308百万円を獲得(前期は350百万円の獲得)した。これは税引前当期純利益、減価償却費、未払費用の増加、そして法人税等の支払などが影響している。投資活動によるキャッシュ・フローは122百万円を支出(同128百万円の支出)した。これには、無形固定資産や投資有価証券の取得による支出が含まれている。財務活動によるキャッシュ・フローは288百万円を支出(前期は160百万円の支出)した。これは長期借入金の返済と自己株式の取得による支出によるものである。営業活動は利益を生み出し続けているが、法人税等の支払などにより前期より資金が減少した。投資活動では固定資産の取得などへの投資を続けており、財務活動では借入金の返済と自己株式の取得で高額な資金を使用した。こうした動きにより、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末比99百万円減少の884百万円となった。

(2) 利益剰余金及び純資産
2024年2月期末の利益剰余金は前期末比205百万円増加の991百万円、純資産は同97百万円増加の1,048百万円となり、2019年2月期から2024年2月期にかけて、着実に改善していることが確認できる。この期間において、利益剰余金と純資産の両方が年々増加し続けており、強固な経営基盤の継続的な強化を物語っている。この持続的な増加は、同社が安定した収益を生み出し続けており、かつ、その収益を効果的に内部留保に回し、純資産を増やしていることを示している。純資産の増加は企業の自己資本を増やし経済的な安定性を高めるとともに、将来の投資や不測の事態に備えた強い経営基盤の構築を示唆している。

(3) 経営指標
同社の経営指標を見ると、自己資本比率は2021年2月期から上昇を続けており、特に2023年2月期から2024年2月期にかけては45.4%から49.2%へと大きく改善した。これは同社がより多くの利益を再投資し、自己資本を積み上げたことで財務の安定性と独立性が増したことを示唆している。自己資本当期純利益率は、2020年2月期に41.6%という顕著なピークがあるものの、その後は20%台前半で比較的健全と言える一定の範囲内で推移しており、2024年2月期においても23.5%を保持している。これらの指標から、同社は長期的な視点で財務基盤を強化し、結果として安定した収益性を維持していると言える。自己資本比率の上昇は、信用リスクの低減や将来の成長投資に向けた安定した基盤を築いていることを意味している。自己資本当期純利益率の安定したパフォーマンスは、効率的な経営と利益の持続可能な成長を示しており、総合的な企業の健全性の指標として評価できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)《HN》

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