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オスはなぜオスを攻撃しメスに求愛するのか、仕組の一端を解明 東大
東京大学は5月27日、オスはなぜ、オスには求愛せず攻撃し、メスには攻撃せず求愛するのか、その判断の仕組の一端を解明したと発表した。
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メダカを使った動物実験で、男性ホルモンの受容体の1つを働かなくすると、オスは出会ったオスをほとんど攻撃しなくなり、逆に盛んに求愛するようになった。また他の1つの受容体を働かなくすると、メスにあまり求愛しなくなり攻撃するようになったという。
なお男性ホルモンは、細胞の外に突き出した受容体に結合することで、初めて細胞に反応を引き起こすことができる。
研究グループによれば、今回の研究成果は、脊椎動物のオスが出会った相手に求愛するか、攻撃するか、どのように判断しているのか、長年の謎を解明する大きな手がかりになるという。
■オスの求愛・攻撃には男性ホルモンが関係
動物種を問わず、成熟したオスは通常、オスに出会うと攻撃し、メスに出会うと求愛し交尾する。
一方、去勢すると、オスはオスをあまり攻撃しなくなり、メスにもあまり求愛しなくなる。
そのため、これまでもオスが攻撃するか求愛するかの判断には、精巣から分泌される男性ホルモンが関係していることはわかっていた。
しかしその判断の詳しい仕組については、よくわかっていなかった。
■男性ホルモンを働かなくすると、攻撃か求愛かの判断を誤る
研究グループはまず、オスのメダカについて男性ホルモンの受容体の1つ「Ara」を働かなくさせた。
すると、他のオスをほとんど攻撃せず逆に盛んに求愛するようになった。
また別の受容体「Arb」を働かなくさせると、メスに対する求愛の頻度が低下し、求愛しても、交接(交尾と同じ意味)せず、攻撃するようになった。
研究グループよれば、オスへの攻撃やメスへの求愛が減少することはある程度予想していたが、オスに求愛したり、メスを攻撃したりするようになったのは予想外だったという。
なお、どちらの受容体を働かなくさせても、オスは正しく相手の性別を認識しており、メスへの興味も維持されていたという。
また今回の研究では、男性ホルモンが脳に働きかけることもわかった。男性ホルモンは、Araを介して視床下部を活性化し、Arbを介して視索前野を活性化。それぞれ別の脳内ホルモンの合成を促進する。
研究グループによれば、男性ホルモンは相手の性別を正しく認識した後に、攻撃するか、求愛するかの判断に関わっていると考えられるという。
長年の謎であった、脊椎動物のオスが、出会った相手を攻撃するか、求愛するか、どのように判断しているのか、その仕組を解明する大きな手がかりが得られたことになる。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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