相場展望5月30日号 米国株: 金利低下期待が後退し、米国株は軟調に転換か 日本株: 金利高と米国株安が、日本株に逆風を強める方向にある

2024年5月30日 10:59

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)5/27、祝日「メモリアルデー(戦没者追悼記念日)」で休場
 2)5/28、NYダウ▲216ドル安、38,852ドル 
 3)5/29、NYダウ▲411ドル安、38,441ドル

【前回は】相場展望5月27日号 米国株: エヌビディア効果で相場上昇も、7月の決算発表期までお休みか? 日本株: 日経平均は戻り一巡、個別銘柄は総じて軟調へ

●2.米国株 : 金利低下期待が後退し、米国株は軟調に転換か

 1)エヌビディアの急伸が波及し、ナスダック総合が初の17,000を突破
  ・エヌビディア時価総額が米2位のアップルに肉薄
    エヌビディア時価総額 2兆8,750億ドル(5/28現在)
    アップル時価総額   2兆9,160
  ・エヌビディア株価、5/28に1,139ドル上場来高値を連日で更新した。5/22の決算発表日の翌日からの3営業日で+19.9%上昇。この期間の上昇率は、ナスダック総合指数が+1.2%、半導体株指数(SOX)で+3.7%を大きく上回った。
  ・エヌビディアの5/29終値は1,148ドル(前日比+9ドル高・+0.81%高)。
   アップルは、+0.30ドル高(+0.16%高)。

 2)長期金利が上昇基調に転換
  ・米10年債金利の推移
    5/15  4.342%  
    5/17  4.420
    5/29  4.618

 3)利下げ期待感の後退が、金利上昇を招き、米国株安につながる
  ・FRB高官による利下げに慎重な発言で、株式市場の利下げ期待感が後退。
  ・米国株は大幅下落による自律反発で大幅高となっていた。そこに利下げ期待感が後退し、株式相場は軟調方向に転換しやすい。

●3.米利下げ、インフレの大幅な改善必要=ミネアポリス連銀総裁(ロイター)

 1)インフレ率がさらに低下しなければ、FRBは利上げに踏み切る可能性もある、と述べた。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)5/27、上海総合+35高、3,124
 2)5/28、上海総合▲14安、3,109
 3)5/29、上海総合+1高、3,111

●2.中国で「隠れ債務不履行」、不動産不況で地方投資会社が綻び(日経新聞)

 1)不動産不況に直面する中国の習近平・指導部が、民間住宅在庫の買い取りに乗り出す。背景には、土地売却収入に頼る地方政府の財政難がある。一部の地方では傘下の投資会社「融資平台」が富裕層などから調達した資金を返せなくなるなど、綻びが隠せなくなっている。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)5/27、日経平均+253円高、38,900円
 2)5/28、日経平均▲44円安、38,855円
 3)5/29、日経平均▲298円安、38,556円

●2.日本株 : 金利上昇と米国株安が、日本株に逆風を強める動き

 1)長期金利、5/29に1.070%に上昇、2011年12月以来の高水準
  ・長期金利上昇に対する5/29の業種別の反応
    金利上昇を嫌気 : 不動産、陸運
    金利上昇を好感 : 銀行、保険

 2)日経平均はNYダウに比べ「割高感」が増している
  ・5/29 NYダウ   38,441ドル
        日経平均   38,556円
 3)日本株は売られやすい展開
  ・売られる要因
   (1)日本の10年物国債金利が上昇基調を強めている
    ・10年物金利の推移
      1/15   0.562%
      2/01   0.687
      3/01   0.710
      4/01   0.735
      5/01   0.889
      5/27   1.070
    ・日銀も金利上昇について容認方向にある。日米金利差の拡大が円安を誘引し、輸入物価に反映し物価高を招いているとの認識がようやく強めている。

   (2)日経平均はNYダウと比べて割高感が増している状況にある。
    ・5/29 NYダウ  38,441ドル
        日経平均  38,556円

   (3)決算発表シーズンが終わり、好材料が乏しくなる

   (4)株式相場の売買金額が薄くなり、買い材料が減り、売られやすくなっている
    ・売買金額の推移
      3/01  5兆1,146億円
      4/01  4兆6,442
      5/27  3兆3,847
      5/29  4兆3,727

   (5)日本株の先行役となる新興株や小型株はすでに下落基調にある

●3.日銀・安達審議委員、「拙速な利上げは避けなければならない」(NHK)

 1)想定以上に物価が上昇する場合には追加の利上げが必要になるとの考えを示した。ただ、わが国経済が回復する機運に水を差すといった、拙速な利上げは絶対に避けなければならない。

●4.日銀ETF、「含み益」37兆円余、株価の値上がり影響で1年前に比べ2倍以上(NHK)

 1)ETF保有額は、今年3月末での時価は74兆4,982億円。
 2)日銀の国債保有額は3月末時点で589兆6,634億円で、過去最大。保有国債の評価損(含み損)は、▲9兆4,337億円。(ロイター)

●5.旭化成、スウェーデンの製薬会社カリディタスを1,700億円で買収(読売新聞

 1)主要製品は腎疾患向け医薬品で、米国市場での販売増が期待できると判断。

■IV.注目株式(投資は自己責任でお願いします)

 ・6301 コマツ      業績上昇期待 
 ・9719 SCSK      業績向上期待

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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