止まらない円安!? 160円台が定着する日は来るのか?

2024年5月10日 16:27

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●ドル円がGWに一時160円台に!

 4月29日の昭和の日に、ドル円が1990年4月以来34年ぶりの1ドル160円台を突破した。

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 しかしその後、政府・日銀の為替介入があったと見られ、同日14時に155円まで円高となり、その1時間半後には157円まで戻すなど、激しい値動きとなった。

 その後、5月2日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が終了し、パウエル議長が「利上げの可能性は低い」と発言。その直後に2回目の為替介入があったと見られ、153円まで円高が進んだ。

 日米の金利差から円安傾向は避けられず、為替介入も“焼け石に水”との意見もあるが、早晩ドル円が160円台に定着する日が来るのだろうか?

●円安のきっかけとなった植田総裁発言

 ゴールデンウイークの歴史的円安のきっかけは、連休前の4月28日に行われた日銀金融政策決定会合後の植田和男総裁による発言だった。

 記者会見で円安について、「基調的な物価上昇率に大きな影響を与えていない」と発言し、これが円安容認と取られた。その2日前の米イエレン財務長官が「為替介入はまれであるべき」と発言した慎重姿勢も相まって、円安が進んだ。

 5月に入ってから、植田総裁の発言も変化し、「過去に比べ物価に影響を及ぼしやすくなっている」と修正。円安の進行については、「十分注視していく」とも述べている。

 利上げについても「物価上振れなら利上げ急ぐ必要」と述べ、追加利上げを示唆している。

●160円台が定着?再度の為替介入はあるのか?

 植田総裁、神田財務官などの関係者は為替介入についてノーコメントを貫いているが、日銀の当座預金残高から、1回目は5兆円、2回目は3.5兆円の円買い・ドル売り介入を行ったと見られている。

 日本の外貨準備高はまだまだ余裕があり、今回の約9兆円の介入も、介入原資の2割程度という推測もある。

 為替介入が絶好の買い場になってしまっていることは否めないが、植田総裁が岸田首相と会談するなど、政府は円安が物価高に繋がることに危機感を持っており、今後も円安に牽制を強めることは間違いないだろう。

 160円台になった時も連休中であったことで介入がないと思われていたこと、米国利上げへの警戒感が再燃した中でのFOMCや雇用統計を控えていたことなど、条件が重なったという見方もできる。

 しばらくは160円台定着はないかもしれないが、このまま日本が利上げできない状態、米国が利下げできない状態が続けば、160円台定着もあり得ない話ではないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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