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小林製薬の「紅麹」問題、日本人のサプリ離れのキッカケになるか?
日本人はサプリ好きだと言われる。内閣府の調査では、「日本人の半数が2種類以上のサプリを利用し、その内の約70%はほぼ毎日利用している」と言う。富士経済によると、国内のサプリメント市場は(2023年見込)1兆678億円となっている。
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巷に溢れるサプリメントは、(1)「特定保健食品(トクホ)」(2)「栄養機能食品」(3)「機能性表示食品」に分類される。
「トクホ」を名乗るためには国の安全審査が条件になっているが、栄養機能食品の場合は消費者庁が指定する栄養成分の機能を表示するすることが認められ、機能性表示食品の場合は届出だけでいいという違いがある。安全審査が条件でも届出だけでいい場合でも、店頭に並ぶときには「サプリメント」として同じような扱いを受けている。
一番規制が厳しいように見える「トクホ」ですら、安全審査が行われるだけで効能は問われていない状況だから、機能性表示食品の場合には事業者の思うままだろう。
例えば、ネットで目にした「精神的なストレスの緩和に役立つ機能が報告されている・・・腸内環境もサポート」するというある機能性表示食品には、「事業者の責任で特定の目的が期待できる旨を表示するとして消費者庁に届出している・・・」と表示されている。
”期待できる”と言う言葉は、ずいぶん都合の良い言葉だ。”効く”と言っている訳でないから、クレームの発生リスクはほとんどない。日常の食事の中で不足する栄養素の補給とサプリを捉える見方もあるが、「好き嫌いなく3食をきちんと食べて、規則正しい生活」をすることから”期待される”結果とは、同等であり得ない。
そもそも、経口摂取しても意味がないと指摘されているビタミン類すら、成分として堂々と意味有り気に表示されているくらいだ。
小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を同社のHPで見てみると、「悪玉コレステロールを下げる、L/H比を下げる」機能性表示食品と記載されているが、製品の特徴欄には「本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません」という注意書きがある。”効くのか、効かんのか、はっきりしてくれ”と言いたくなるような記述だ。
小林製薬のサプリと健康被害の因果関係は現在調査中なので、軽々に決めつけることは出来ないにが、厚生労働省が発表した5月1日時点の入院者数が延270人に上り、5人が死亡しているという事実は重い。
「サプリは効かない?」と思いつつ、医薬品と同じような錠剤という形状に錯覚させられて習慣的に飲み続けてきた人達も、入院したり死者が出るという事態を目の当たりにして、大いに動揺している筈だ。
サプリ業界にとって、この事件がキッカケでサプリ全般が売上不振となれば、悪夢の始まりとして象徴的な意味を持つことになる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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