GDP4位転落の一方で、好調な株価 今後の日本株の行方は?

2024年2月21日 16:29

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●日本のGDPが4位に転落

 ロイター通信によると、15日に発表された2023年のGDP(国内総生産、速報)は、ドル換算でドイツに抜かれ、世界4位に転落した。

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 一方、日経平均は2月16日に一時700円を超える大幅上昇となり、1989年12月末に付けた最高値である3万8915円にあと50円に迫った。

 史上最高値も秒読みと見られており、日経平均が4万円台に定着する期待もある。株価が実体経済と乖離して上昇を続けるのはなぜなのか?

●今さら聞けないGDP

 GDP(国内総生産)は、国内で産出された付加価値の総額で、国の経済活動状況を示す。

 付加価値はサービスや販売から原材料費や流通費用を差し引いた価値を指す。

 かつてはGNP(国民総生産)が使われていた。GNPは海外に住む国民や海外支店も含まれる。グローバル化が進む経済に合わなくなるため、2001年以降はGDPが用いられるようになった。

 日本は高度経済成長を経て、1960年代後半にはアメリカに次ぐ世界2位の経済大国となった。その後2010年には中国に抜かれて世界3位となっていたが、今回名目GDPでドイツに抜かれ4位となった。

●避けられない衰退!?株価への影響は?

 日本は“失われた30年”を経て、日本企業の海外流出、少子高齢化など成長しない国と言われてきた。インドに抜かれて5位に転落するのも時間の問題と言われている。

 短期的に見ると、今回のGDP4位転落と株価がバブル以来の史上最高値を更新しようとしているのは、円安が大きく影響していると見られる。

 円安になると海外進出している企業の利益は上がり、株価も上昇する。一方で、原材料や食料品などを輸入に頼る日本では、物価上昇につながり、消費は落ち込む。また今回の発表はドルベースに換算する名目GDPであり、円安の影響を受けやすい。

 では今後、バブル経済崩壊後の1990年代のように、株価も高値を付けたあとに急落する可能性があるのかと言うと、それには否定的な見方が多い。

 株価の割安感を示すPERやPBRは、決してバブル時のような“買われ過ぎ感”はなく、出遅れを取り戻しているに過ぎないという意見がある。

 ただ、中国株からの流出の他、日銀の金融緩和の継続や新NISAが好感されているだけとも考えられ、緩和の終了・利上げでゲームチェンジャーとなる恐れもある。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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