TACは24年3月期業績予想を下方修正、25年3月期回復期待

2024年2月7日 09:36

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  TAC<4319>(東証スタンダード)は2月6日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。各利益は赤字で着地した。法人研修事業は堅調だったが、個人教育事業において大学生を主な受講層とする講座が低調だった。そして通期予想を下方修正して減収・赤字予想とした。個人教育事業に加えて、法人研修事業において地方の個人を主な顧客としている提携校事業が低迷しているため、全体として売上高が計画を下回る見込みだ。24年3月期は赤字予想となったが、積極的な事業展開により25年3月期の収益回復を期待したい。株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う展開だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRなども評価材料であり、下値限定的だろう。

■24年3月期3Q累計赤字、通期予想を下方修正

 24年3月期第3四半期累計の連結業績は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比3.9%減の143億69百万円、営業利益が3億21百万円の損失(前年同期は3億41百万円の利益)、経常利益が3億53百万円の損失(同3億52百万円の利益)、そして親会社株主帰属四半期純利益が2億36百万円の損失(同2億04百万円の利益)だった。各利益は赤字で着地した。個人教育事業において大学生を主要な受講層とする講座が低調だった。

 個人教育事業は現金ベース売上高が2.5%減の76億04百万円、現金ベース営業利益が6億83百万円の損失(同5億25百万円の損失)だった。法人研修事業は現金ベース売上高が2.9%増の35億02百万円、現金ベース営業利益が4.8%増の8億16百万円だった。

 受講者数は、個人受講者が1.2%減の9万2925人、法人受講者が7.7%増の7万6088人で、合計が2.6%増の16万9013人だった。講座別の受講者数(個人・法人合計ベース)には、税理士講座が4.5%増、宅地建物取引士講座が6.5%増、FP講座が13.1%増、情報処理講座が17.8%増となった一方で、簿記検定講座が7.6%減、公認会計士講座が5.2%減、マンション管理士講座が6.3%減、公務員(国家一般職・地方上級)講座が8.6%減となった。

 出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が5.6%減の29億41百万円、営業利益が30.5%減の5億03百万円だった。第3四半期は回復傾向となったが、巣ごもり需要の反動減があった第1四半期、第2四半期の影響をカバーするまでには至らず減収減益だった。人材事業は売上高が1.2%減の4億40百万円、営業利益が6.3%減の96百万円だった。会計系人材事業は堅調だったが、医療系人材事業における新型コロナウイルス感染症関連業務の減少、営業費用の増加などにより減収減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると第1四半期は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が52億06百万円で営業利益が1億23百万円、第2四半期は売上高が49億19百万円で営業利益が1億29百万円、第3四半期は売上高が42億44百万円で営業利益が5億73百万円の損失だった。なお、同社が重視している前受金調整前の現金ベースの売上高は第1四半期が前年同期比6.3%減の44億43百万円、第2四半期が2.3%減の55億46百万円、第3四半期が3.7%増の44億69百万円だった。第3四半期は売上が回復傾向となった。

 通期連結業績予想は2月6日付で下方修正し、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が23年3月期比3.0%減の191億13百万円、営業利益が2億10百万円の損失(23年3月期は3億19百万円の利益)、経常利益が2億48百万円の損失(同3億24百万円の利益)、そして親会社株主帰属当期純利益が1億71百万円の損失(同2億14百万円の利益)としている。配当予想は据え置いて23年3月期と同額の6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。

 前回予想に対して売上高を5億07百万円、営業利益を5億90百万円、経常利益を5億78百万円、親会社株主帰属当期純利益を3億81百万円、それぞれ下方修正した。個人教育事業に加えて、法人研修事業において地方の個人を主な顧客としている提携校事業が低迷しているため、全体として売上高が計画を下回る見込みだ。なお下方修正・赤字予想となったことに対して、経営責任を明確にするため役員報酬等の減額(対象期間は24年4月から25年3月までの1年間)を決議・公表した。24年3月期は赤字予想となったが、積極的な事業展開により25年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う展開だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、業績悪化懸念は織り込み済みだろう。1倍割れの低PBRなども評価材料であり、下値限定的だろう。2月6日の終値は195円、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS341円58銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約36億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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