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中東情勢も左右!? 気になる原油価格
●小動きする原油価格
中東での緊張の高まりを受け、1月30日にWTI原油先物が1バレル=78ドルの高値を記録するなど、供給への懸念が広がっている。
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29日にヨルダン北東部の米軍基地へ親イラン勢力による無人機の攻撃があり、米国兵士3人が死亡した。米国政府も「必要なあらゆる行動をとる」と明言し、報復も開始している。
昨年からフーシ派の紅海での船舶攻撃や、イスラエルとハマスの紛争など、中東情勢は燻り続けているが、新たな火種として中東情勢が混沌とし、原油価格の上昇へと繋がるのだろうか?
●米国の報復とイランの出方
2月3日には米軍がシリアやイラクにある親イラン勢力の拠点85カ所を空爆するなど、報復を開始している。米英軍は同日、イエメンにあるフーシ派の関連施設も攻撃した。
ただ米国としては、イランとの戦争は望まず、イランも戦争は望んでいないとの考えを示している。米国とイランの直接対決はお互いに避けたいとの思惑はあるだろう。
これらの攻撃を受けて、イラン側は「緊張と不安を高める結果にしかならない」としている。
イランは世界の供給量の1~1.5%の原油を輸出しており、制裁などとなれば原油価格への影響は避けられない。イランはホルムズ海峡を封鎖すると脅しており、これが実現するとさらに事態は緊迫化する。
●原油価格は中東情勢以外も大きく影響
終わりの見えない中東情勢の中で、イスラエルとハマスが停戦交渉に入っているという情報が、唯一の好材料だろう。停戦交渉が良好ならば原油価格の下落要因となるかもしれない。
2月2日に発表された米国雇用統計は予想を上回る結果となり、3月の利下げ観測が後退したことを受けて、原油価格は約7%下落していた。
1月29日には香港の高等法院が中国不動産大手の中国恒大集団に清算を命じるなど、中国の景気への懸念も燻っている。
2月6日には米国の石油在庫統計の発表も控えており、中東の情勢と景気動向で原油価格が上下に動くことが考えられる。
だが中東情勢の上昇要因と景気動向の下落要因がけん制し合い、当面は70ドル台近辺に収まることになるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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