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東京メトロ上場にかかる期待と不安
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●東京メトロが24年度にも上場
日経新聞電子版は26日、政府と東京都が東京メトロ株の売却を24年度中にも始めると報じた。
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東京都の小池百合子都知事も26日の記者会見で、24年度の予算案に東京メトロ株の売却費用を計上し、「関係者と協議を進めていく」と語った。国の売却益は東日本大震災の復興財源に充てる。
早くも日本郵政以来の大型IPOと投資家の中でも期待する声が大きい。
●東京メトロの上場は既定路線
現在の東京メトロの株主構成は政府53.4%、東京都46.6%となっている。
前身の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)が、2004年に副都心線の開業に目途がついた段階で東京メトロ(東京地下鉄)に改称されて、民営化がスタートした。
この時から、出来るだけ速やかな株式の売却が行われることとなっていたが、国と都の同意が得られず、実現しなかった。
その後、2011年の東日本大震災を受け、復興財源確保法により、東京メトロの売却益を復興財源に充てることとなっていた。
国と都がそれぞれ半分ずつ売り出す予定で、売却期限は元から2027年度となっていた。
●なぜこのタイミングで?期待と不安
今回、日経平均がバブル後の最高値を連日更新するなど、株価が好調だったことを受けて、決断したと考えられる。
上場によって、サービスの向上や、経営の自由化による海外への進出などが考えられ、個人投資家にとっては、他の鉄道会社のような株主優待や配当金への期待も出てくるかもしれない。
他の地下鉄を見ると、大阪メトロは民営化されてはいるが、大阪市が100%株主であり、世界的に見ても、政府や自治体が保有しているところが多い。
今後は別会社である東京都営地下鉄との経営一元化がどうなるかが、注目される。過去には猪瀬都知事(当時)が経営の一元化を主張し、株式の売却に反対したことがあった。
上場後はNTTのような完全民営化への議論へと向かうことも考えられるが、都市計画と連動しており、完全に行政と切り離すことは難しい。外資規制も含めて課題は多い。
はっきりとした上場時期はまだ不明だが、JR3社に次ぐ売上・利益額を誇る東京メトロの上場は日本の市場だけでなく、世界のIPOにとって一大イベントだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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