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2023年、日経平均の振り返り
2023年12月29日、東京証券取引所の2023年(令和5年)最終取引日である「大納会」の日経平均終値は75.45円安の33.464.17円だった。[写真拡大]
■年間騰落7369.67円高、28.2%上昇
2023年12月29日、東京証券取引所の2023年(令和5年)最終取引日である「大納会」の日経平均終値は75.45円安の33.464.17円だった。前年の大納会の終値と比較した年間騰落は7369.67円高で、年間上昇率は28.2%。2月のウクライナ侵攻以降、世界的なインフレを反映して低調だった前年2022年と比べると大きな上昇をみせ、2年ぶりのプラスとなった。
バブル最盛期の1989年(平成元年)の8756円87銭高(29.0%上昇)以来の大幅高で、歴代第3位の上昇幅を記録している。TOPIX(東証株価指数)も25.0%上昇だった。アメリカ市場はNYダウは13.8%上昇、NASDAQは44.2%で、日本市場はNASDAQには及ばないがNYダウは大きく上回っている(アメリカの両市場は12月31日まで取引が行われる)。
日経平均は「大発会」の1月4日の25661円が年間の最安値で、冬から春にかけて尻上がりに上昇して5月、30000円の大台を回復した。この時期、生成AIブームを背景にグロース銘柄の成長性が脚光を浴びる局面もあった。夏場には欧米の相次ぐ利上げ、中国の景気悪化などを反映してやや停滞したものの、秋風が吹いて11月になるとバブル崩壊後の最高値を更新した。
■円安による好業績、日本株の再評価
2023年の日本株が好調だった最大の原因は一時1ドル=150円を超えた「為替の円安」だろう。ドル高円安によって輸出企業を中心に企業業績が押し上げられ、四半期決算期を迎えるたびに通期業績の上方修正が相次いだ。企業内部の構造改革による低いPBR(株価純資産倍率)の改善も進んだ。これが海外投資家からの「稼ぐ力が向上した日本株への再評価」につながり、東京市場に海外マネーが流入して、業績で上がった株価がさらに上昇をみせるという好循環をもたらした。
4月に著名投資家のウォーレン・バフェット氏が来日したことも、それを後押ししている。バフェット氏が、特に「総合商社」を挙げて日本株への追加投資を検討する意向を示した後、5月に30000円を突破した日経平均は、翌月の6月には33700円を超えている。多くの海外投資家が追随し、まさにそれは「バフェット効果」だった。
円安による企業の好業績は「価格改訂」「従業員の賃上げ」「設備投資活発化」「M&A」などの動きを促した。日本銀行は年末までマイナス金利政策を修正しなかったが、新型コロナ対策の「5類移行」による国内商業、サービス業のインバウンド需要の復活もあり、海外投資家に対して「日本はデフレから脱却しつつある」というイメージを与えていた。
■資本政策など企業内部の改革もあった
2022年4月、「第一部」「第二部」「マザーズ」「JASDAQ」を「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編する大胆な市場改革を行った東京証券取引所は、かねてから上場企業に対して資本効率の改善、資本政策の実施を要請していた。
2023年は好業績を反映してそれに対応する動きが盛んになり、「自社株買い」「株式分割」のニュースをよく聞くようになる。それが平均株価をさらに押し上げる要因の一つになったと言える。自社株買いは明白に株価に対してプラス効果をもたらすが、理論的には株価に対してはニュートラルな株式分割も「それを行えるだけの企業体力がついている」というポジティブな評価をもたらした。
M&A(合併・買収)の活発化も株価上昇に寄与している。M&Aによる希薄化で株価が一時的に低下した場合でも、将来の業績向上が見込めるとアナリストから良い評価がついて、株価低下分を短期間で取り返せたケースもあった。(編集担当:寺尾淳)
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