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原油だけではない! 紅海動乱が与える市場への影響
●フーシ派が紅海で船舶への攻撃を活発化
北アフリカとアラビア半島に挟まれた中東の紅海で、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による船舶への攻撃が相次ぎ、混乱している。
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英エネルギー大手・BNPバリパが輸送を一時停止。コンテナ船大手のスイスMSCなど、複数の海運大手が喜望峰を経由する航路を開始するといった事態になっている。
18日には原油先物価格が2%上昇し、原油供給への影響が懸念される。原油価格だけでなく、今後紅海での動乱によって、市場はどうなるのだろうか?
●フーシ派とは?ハマスとの関係も?
世界の物流の約15%が、地中海から最短経路であるスエズ運河を通って紅海まで繋がっており、世界的に重要な国際水路となっている。紅海南部はイエメンの前を流れている。
フーシ派は、イエメン北部を本拠地とするイスラム系シーア派の分派ザイド派の武装組織だ。イエメン政府と対立しており、利害を共有するイランが支援していると見られている。
パレスチナのイスラム組織ハマスと連帯しており、ハマスが10月7日にイスラエルを攻撃後、イスラエルとの紛争が本格化すると、航海を航行するイスラエル船舶への攻撃を宣言していた。
●年末年明け市場への影響
ロイター通信によると、ゴールドマンサックスの18日付のリポートでは、石油や天然ガス輸送の混乱がエネルギー価格に大きく影響することはない、との見方を示している。
米国が商船保護のために他国と連携し、パトロールを強化するとしており、状況の改善が喫緊の課題である。長期化となれば、航路の変更による輸送コストの増加が世界経済全体に大きな影響を及ぼしかねない。
一方で、航路の変更によって需要拡大などが意識されて、海運株である川崎汽船や商船三井などの株価が上昇するなど、思わぬプラス効果もある。
原油については、ロシアがこれまでの合意からさらに減産幅を縮小すると見られているが、景気次第で原油先物は下落圧力もある。
原油価格だけでなく、市場への影響も長期的に状況を見極めたい。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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